韓国の空港やスタジアムで相次ぐ雨漏り問題は、もはや日本のコリアウォッチャーの間では周知の事実となっています。サムスングループの高級ホテル「ホテル新羅」のリニューアルオープン直後の雨漏り騒動や、ソウルの高尺スカイドーム球場での観客が傘をさして野球観戦する異様な光景など、まるで漫画のようなエピソードが後を絶ちません。
なぜ韓国で雨漏りが多発するのか?
かつては日本の住宅でも雨漏りは珍しくありませんでした。しかし、近年の日本の建築技術の向上により、雨漏りはほとんど見られなくなりました。わずかな漏水でも建物の耐久年数を縮めるため、日本の建設関係者は小さな漏水にも細心の注意を払っています。新築住宅での雨漏りはもちろん、完成間もない大型ビルでの雨漏りも、日本ではまず考えられません。
韓国・金浦国際空港の管制塔
一方、韓国では過去の建設文化が根強く残っているようです。韓国の大手建設会社の幹部は、「引き渡し後に不具合が出たらすぐに補修工事を行う」と語っていたといいます。完璧な状態で引き渡すという意識は低いようです。AFP通信によると、2018年から2024年にかけて、韓国の7つの空港で18件の施設漏水が発生し、空港公社は同期間に38回の防水工事に約6億円を費やしたにもかかわらず、雨漏りは繰り返されているとのことです。「ケンチャナヨ(大丈夫)」の精神で、補修工事を繰り返す現状が浮き彫りになっています。
「外華内貧」の建設文化
韓国の建築物は、外見は美しくても、内部では雨漏りが発生していることが少なくありません。これはまさに「外華内貧」を象徴する建設文化と言えるでしょう。日本のマンションは、適切なリニューアル工事を施せば築50年でも快適に生活できますが、韓国のマンションは15年も経つと住めない状態になることも珍しくありません。大規模なリニューアル工事を行うと建物全体が崩壊する危険性があるため、取り壊し・新築という選択がとられることが多いようです。
雨漏りが発生した韓国初のドーム球場「高尺スカイドーム」
経済効果と持続可能性
皮肉なことに、建物の取り壊し・新築は韓国の国内総生産(GDP)を押し上げる効果があります。しかし、資源の無駄遣いという観点からは、持続可能な社会の実現には程遠いと言わざるを得ません。建築評論家の佐藤一郎氏(仮名)は、「韓国の建設業界は、長期的な視点で建物の品質向上に取り組む必要がある」と指摘しています。
まとめ
韓国の雨漏り問題は、単なる建物の欠陥にとどまらず、韓国社会の「外華内貧」の体質を反映していると言えるでしょう。真の豊かさとは何かを改めて問い直す必要があるのかもしれません。