日本の小学校で何が起きているのか?不登校児童の増加と中学受験の過熱化という二つの問題を通して、教育現場の歪みと親の苦悩に迫ります。
教員の疲弊と管理教育が生む不登校
近年、小学校における不登校児童の数は増加の一途を辿っています。「普通」であることを重視する管理型の教育現場では、少しでも枠からはみ出ると「公立に合わない」「普通学級に合わない」といったレッテルが貼られてしまう現状があります。過酷な労働環境で疲弊する教員たちも、この状況を改善するのは容易ではありません。
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内申点への不安から中学受験へ
公立小学校における教員の質への不信感から、中学受験を決意する親も少なくありません。例えば、佐藤恵美さん(仮名)のケースでは、息子の些細なミスに対して担任教師が過剰に反応し、最終的に主要科目の成績を下げるという出来事がありました。
alt="小学校教師と生徒"
都立中学校の受験では内申点が重視されるため、恵美さんは担任の行為が息子の将来に悪影響を及ぼすことを懸念し、入試の点数だけで合否が決まる私立中学への受験を決断しました。
中学受験という“課金”スパイラル
中学受験塾の高額な授業料に加え、個別指導や家庭教師の費用も加算されることで、教育費は膨大な金額に膨れ上がります。恵美さんの息子も難関校合格を目指し、塾の授業に加えて家庭教師をつけることで、年間130万円、総額500万円を超える教育投資を行いました。
塾業界では、難問を解くことがステータスとされ、難関校を目指すための“課金”が当たり前になりつつあります。塾の授業についていけない子どもたちは個別指導や家庭教師にさらに“課金”し、抜け出せないスパイラルに陥ってしまうケースも少なくありません。
教員不足と教育格差の拡大
教員不足も中学受験過熱化の一因となっています。人材不足の中で資質が問われる教員が教壇に立つこともあり、公立学校への不信感を募らせる親が増えているのです。「御三家」をはじめとする難関校への憧れは、さらなる教育投資を促し、教育格差の拡大につながる可能性も懸念されています。
教育の原点を見つめ直す
不登校の増加、中学受験の過熱化、そして教育格差の拡大。これらの問題は、私たちに教育の原点を見つめ直すことを迫っています。子どもたちの個性と才能を伸ばし、誰もが安心して学べる環境を築くためには、教育現場の改革と社会全体の意識改革が不可欠です。