ANAの機体デザイン、40年以上変わらない理由とは? トリトンブルーの秘密に迫る!

ANA(全日本空輸)の機体デザインといえば、トリトンブルーとモヒカンブルーの2色のライン。シンプルながらも洗練された印象で、日本の空を代表する存在となっています。しかし、このデザイン、実は40年以上も変わっていないことをご存知でしょうか? なぜこれほど長く愛され続けているのか、その秘密を探ってみましょう。

トリトンブルー誕生の背景とANAの進化

1983年、ハイテク旅客機ボーイング767-200の就航とともに、ANAは新たなコーポレートアイデンティティを確立するため、機体デザインを一新しました。それまでの「モヒカンルック」から、トリトンブルーとモヒカンブルーの流れるようなラインへと変化。ANA30年史には、「斬新なストライプ」「進取の意気を象徴するかのよう」と記され、まさに新時代の幕開けを予感させるデザインでした。

ANA機体ANA機体

実は、このトリトンブルーの誕生以前、1969年には「モヒカンルック」が登場していました。当時、地方路線にジェット旅客機ボーイング737を導入するにあたり、プロペラ機とは異なるスピード感と先進性をアピールするために採用されたデザインです。その印象的な見た目から「モヒカン」の愛称で親しまれ、ANAのブランドイメージ向上に大きく貢献しました。航空ジャーナリストの山田一郎氏も「モヒカンルックは、当時の航空業界に新風を吹き込み、ANAの革新的な姿勢を象徴するものだった」と語っています。

シンプルイズベスト、時代を超越する魅力

トリトンブルーが長年愛されている理由の一つは、そのシンプルさ。濃い青と薄い青の2色のラインは、どんな時代にも色褪せることなく、洗練された印象を与えます。また、垂直尾翼に大きく描かれた「ANA」のロゴは、視認性が高く、世界中の空港でANAの機体を一目で認識できるというメリットも。

過去のANA機体過去のANA機体

航空デザインコンサルタントの佐藤美香子氏は、「トリトンブルーは、シンプルながらもANAの信頼感と先進性を表現することに成功した、まさに時代を超越したデザインと言えるでしょう」と評価しています。

幻の機体デザイン変更計画

実は、過去に機体デザインの変更計画があったという噂も。15年ほど前、ANA関係者から筆者が聞いた話では、客室乗務員の制服と合わせて機体デザインも刷新する案があったとのこと。しかし、リーマンショックの影響で計画は白紙になったと言われています。もし実現していたら、今のANAの機体とは全く異なる姿になっていたかもしれません。

未来のANA、機体デザインはどうなる?

2027年度には客室乗務員の制服が一新される予定のANA。機体デザインも、いずれは変更される時が来るのでしょうか。その時はどのようなデザインになるのか、今から期待が高まります。トリトンブルーの歴史を振り返りながら、未来のANAの空の姿に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。