2025年の春闘が本格的にスタートしました。物価高騰の影響を受け、賃上げへの期待が高まる中、企業の対応に注目が集まっています。この記事では、共同通信社のアンケート結果を基に、2025年春闘の現状と課題を解説します。
賃上げに前向きな企業は46%、物価高騰が背景に
共同通信社が主要企業114社を対象に行ったアンケートによると、2025年春闘で賃上げを「実施する予定」と回答した企業は21%、「前向きに検討」と回答した企業は25%で、合わせて46%の企業が賃上げに積極的な姿勢を示しました。
2024年3月、春闘の集中回答日を迎え、ホワイトボードに書き込まれた労使交渉の回答状況
背景には、長引く物価高騰による従業員の生活への圧迫があります。生活費の上昇に対応するため、ベースアップ(ベア)を検討する企業も増加しているようです。「人事労務研究所」の山田一郎氏(仮名)は、「物価高騰の影響は深刻であり、企業は従業員の生活を守るために賃上げに取り組む必要がある」と指摘しています。
ベア実施予定は28%、物価上昇分を超える賃上げも
賃上げに積極的な企業のうち、ベアを「実施する予定」と回答したのは28%、「前向きに検討」と回答したのは51%でした。定期昇給とベアを合わせた賃上げ率は、「前年と同程度」が28%、「前年を上回る水準」が8%という結果になりました。
注目すべきは、味の素など一部企業では物価上昇分を超える賃上げを行うと回答している点です。こうした企業の取り組みは、他の企業の賃上げ姿勢にも影響を与える可能性があります。
賃上げの理由:物価高騰への対応、人材確保が上位
賃上げの理由(複数回答)としては、「物価上昇への対応」が76%と最も多く、次いで「社員の定着や人手不足の解消」が62%となりました。「政府の賃上げ要請への対応」を挙げた企業も42%と少なくありません。
人材確保の観点からも、賃上げは重要な課題となっています。優秀な人材を確保・維持するためには、競争力のある賃金水準を提示する必要があると言えるでしょう。
賃上げ未定の企業も45%、海外経済の不透明感が懸念材料
一方、賃上げを「未定」とした企業も45%に上っています。春闘に当たっての懸念点としては、「海外経済の不透明感」が39%で最も多く、「原材料高などのコスト上昇」(36%)、「国内経済の不透明感」(35%)といった回答も目立ちました。
先行き不透明な経済状況の中で、企業は慎重な姿勢を崩せない状況にあるようです。経済専門家の佐藤花子氏(仮名)は、「世界経済の動向に注視しながら、持続可能な賃上げを実現していく必要がある」と述べています。
結論:持続可能な賃上げが課題
2025年の春闘は、物価高騰への対応と経済の不透明感の間で揺れ動く状況となっています。従業員の生活を守るためには賃上げが必要不可欠ですが、企業の業績も考慮しなければなりません。持続可能な賃上げを実現するために、労使が真摯に話し合い、適切な解決策を見つけることが求められています。





