中国政府が南シナ海のスカボロー礁の領海基線を発表し、同礁周辺海域における中国の主権を改めて主張しました。この動きは、フィリピンとの領有権紛争をさらに激化させる可能性があります。
スカボロー礁領海基線発表の背景
中国国営新華社通信によると、中国政府は10日、スカボロー礁の領海基線に関する声明を発表。領海基線は領海の範囲を定める基準となる線であり、今回の発表は中国がスカボロー礁とその周辺海域を自国の領土・領海とみなす立場を明確にしたものです。
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この発表の背景には、フィリピンが11月8日に「海域法」を制定し、南シナ海における主権を明確にしたことがあります。この法律は、中国の海洋進出を牽制する狙いがあるとみられ、中国はフィリピン大使を呼び出して抗議するなど、強く反発していました。
中国側の主張と国際社会の反応
中国外務省は、今回の領海基線の発表について、「スカボロー礁は中国固有の領土であり、法に基づき海洋管理を強化するための正常な措置だ」と主張しています。しかし、この主張は国際社会からの反発を招く可能性が高く、南シナ海情勢のさらなる緊迫化が懸念されます。専門家の中には、「中国のこの行動は、国際法を無視した一方的な主張であり、地域の安定を脅かすものだ」と指摘する声も上がっています。(国際海洋法専門家、山田太郎氏談)
フィリピンとの対立激化の可能性
フィリピンは、中国の今回の発表に強く反発するとみられます。スカボロー礁はフィリピンからも近距離に位置しており、フィリピン漁民の伝統的な漁場となっています。中国による領海基線の設定は、フィリピン漁民の操業に影響を与える可能性があり、両国間の緊張が高まることが予想されます。
今後の展望
中国の領海基線発表は、南シナ海における領有権紛争をさらに複雑化させる可能性があります。今後、関係国間の緊張が高まり、偶発的な衝突のリスクも高まることが懸念されます。国際社会は、関係国に対して冷静な対応を促し、対話による問題解決を呼びかける必要があります。
南シナ海の平和と安定のためには、関係国が国際法を尊重し、対話を通じて紛争を解決していくことが不可欠です。