経済産業省が、性自認が女性のトランスジェンダー職員に対する女性トイレの使用制限を、ついに撤廃しました。最高裁が制限を違法と判断してから1年以上が経過し、ようやく実現したこの決定は、LGBTQ+を取り巻く職場環境の改善に向けた大きな一歩と言えるでしょう。
長年の制限と最高裁の判断
当該職員は50代のトランスジェンダー女性で、長年ホルモン治療を受け、女性の身なりで勤務していました。しかし、勤務フロアから2階以上離れた女性トイレしか使用を認められていませんでした。この制限に対し、職員は人事院に行政措置要求を申し立てましたが、2015年には退けられました。その後、2023年7月、最高裁は人事院の判定を覆し、経産省の対応を違法と判断しました。
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人事院の再判定と経産省の対応
最高裁判決後も制限は続いていましたが、2024年10月29日、人事院はトイレの利用制限について再判定を出し、「不当」としました。経産省はこれを受け、11月8日に庁舎内すべての女性トイレの使用を認めると職員に伝えたとのことです。人事院の再判定では、経産省がLGBTQ+に関する研修を実施するなど理解醸成に努めていたにもかかわらず、制限を続けていた点を問題視しました。
LGBTQ+ への理解と職場環境の改善
今回の決定は、LGBTQ+当事者にとって大きな前進です。性的マイノリティが安心して働ける職場環境の整備は、企業の社会的責任としてますます重要になっています。「多様性」と「包摂性」が重視される現代社会において、企業は個々の従業員の尊厳を尊重し、誰もが能力を発揮できる環境づくりに取り組む必要があります。 人事コンサルタントの山田花子さん(仮名)は、「今回の経産省の決定は、他の企業にも良い影響を与えるだろう」と述べています。
今後の課題
経産省の対応は遅きに失した感も否めませんが、今回の決定を機に、他の企業や組織もLGBTQ+への理解を深め、差別のない職場環境づくりに積極的に取り組むことが期待されます。 真のインクルーシブな社会を実現するためには、法整備だけでなく、一人ひとりの意識改革が不可欠です。
まとめ
トランスジェンダー職員へのトイレ使用制限撤廃は、LGBTQ+の権利擁護の観点から重要な一歩です。今後、日本社会全体で多様性を尊重する文化が根付き、誰もが自分らしく生きられる社会の実現が期待されます。