かつて一世を風靡した船井電機が破産手続き開始という衝撃的なニュースが世間を駆け巡ってから約1ヶ月。再建の舵取りを託された原田義昭会長が、jp24h.comの独占インタビューに応じ、破綻の真相と再生への展望を語った。
会長就任の経緯と破産申し立ての衝撃
原田氏は、弁護士事務所への船井電機側からの度重なる訪問を受け、8月末に相談を受けたことが会長就任のきっかけだったと明かした。大阪本社を訪問し、事態の深刻さを目の当たりにした原田氏は、「男の道」として会長職を引き受けたという。
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しかし、就任からわずか1ヶ月後の10月下旬、取締役会の議決を経ずに破産申し立てが行われた。原田氏にとって、まさに「寝耳に水」の出来事だった。「さあ、これからだと思っていた矢先に、新聞やテレビでこのニュースを知り、大変なことになったと感じた」と、当時の衝撃を語った。
破綻の要因:ブランドへの過信と組織の綻び
なぜ、船井電機はここまで追い込まれたのか。原田氏は、過去の栄光にすがるあまり、現状に即した努力が不足していた点を指摘。「船井電機というブランドに頼り切っていた。社員一人ひとりの努力はもちろん、連絡体制、統率力、そして共通の目標に向かって突き進む力が欠けていた」と分析した。
報じられている300億円もの資金流出については、「事実関係を十分に評価していないが、ここまで至った以上、原因と背景を徹底的に調査する」と述べた。
経営陣の評価と再建への決意
旧経営陣については、「当時の経営判断を含め、評価すべき点もある。不正を指摘する声もあるが、私は決めつけずに、まずは再結束に尽力している」と強調。 経営陣の悪意ではなく、努力がうまくかみ合わなかったことが今回の事態を招いたという見方を示した。
専門家の見解
企業再生コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「船井電機のような老舗企業の再生には、過去の成功体験にとらわれず、市場の変化に柔軟に対応できる新たなビジネスモデルの構築が不可欠です」と指摘する。
再生への険しい道のり:裁判所の厳しい審査
船井電機は10月24日、東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。原田氏は決定の取り消しを求め、即時抗告を申し立てている。弁護士でもある原田氏は、「裁判所の審査は想像以上に厳しく、資金計画や会社経営の持続可能性など、多岐にわたる厳しい審査が待ち受けている」と述べ、再建への道のりが険しいことを示唆した。
原田会長は、「一つ一つ課題を乗り越え、必ずこの企業を再生させる。従業員を守り抜く」と力強く宣言した。今後の船井電機の動向に注目が集まる。