パキスタン北部ギルギット・バルティスタン地域で発生した痛ましいバス転落事故。結婚式を終え、幸せの絶頂にいた新郎新婦を含む25名を乗せたバスが、12日夜、川に転落しました。暗闇の中、救助活動が続けられましたが、奇跡的に生還したのは新婦ただ一人。残る24名の尊い命が奪われるという、悲劇的な結果となりました。
幸せムード一転、悪夢の転落事故
祝福に包まれた結婚式を終え、新たな人生への期待に胸を膨らませていた一行。しかし、その喜びは突如として悪夢へと変わりました。事故発生当時、バスは山間の道を走行中でした。警察の発表によると、スピードの出し過ぎが原因でカーブを曲がり切れず、バスは川へと転落したとみられています。
パキスタン北部ギルギット・バルティスタン地域の集落(資料写真)
懸命の救助活動も虚しく…
事故発生を受け、地元の救助隊が直ちに現場へ駆けつけ、懸命の捜索・救助活動が続けられました。しかし、急流の川と暗闇が救助を困難なものとし、多くの犠牲者を出しました。現在までに24名の遺体が収容され、唯一の生存者である新婦は病院へ搬送されました。心身ともに深い傷を負った新婦の心中は、察するに余りあります。
繰り返されるバス事故、安全対策の強化が急務
パキスタンでは、道路状況の悪さや車両の老朽化、運転手の過失などから、バスの転落事故が後を絶ちません。今回の事故も、そうした背景を改めて浮き彫りにする結果となりました。「パキスタン交通安全協会」(仮称)の専門家、アリ・カーン氏は、「今回の事故は、パキスタンにおける交通安全対策の遅れを改めて示すものだ。政府は早急に、道路整備や運転手への安全教育、車両の定期点検など、抜本的な対策を講じる必要がある」と指摘しています。
悲しみに包まれる地域社会、再発防止への願い
今回の事故は、地域社会に大きな衝撃と悲しみをもたらしました。結婚式という晴れの舞台が一瞬にして悲劇に変わった事実は、人々の心に深い傷を残しています。今後、事故原因の徹底究明と再発防止策の確立が強く求められています。犠牲者の方々のご冥福を心よりお祈りするとともに、二度とこのような悲劇が繰り返されないことを願ってやみません。