インド高速鉄道へのJR東日本E10系導入に高まる期待:深化する日印連携

インドのジョージ駐日大使は7月31日、JR東日本が開発する東北新幹線の新型車両「E10系」がインド西部で建設中の高速鉄道プロジェクトに早期に採用されることへの強い期待を表明しました。大使は、JR東が営業運転開始目標とする2030年度に近い時期にこの新型車両が投入されれば、それは「両国友好の証しとなる」と強調しました。この発言は、東京都内で行われた共同通信のインタビューの中で語られました。

インド高速鉄道へのE10系導入への期待

インドのモディ首相は今月下旬の来日を調整しており、この訪日中に新型車両「E10系」の採用に関して合意に至る見通しです。さらに、日本の石破茂首相との首脳会談も想定されており、ジョージ大使はこれを「両国関係を量的、質的に高める絶好の機会になる」と展望しました。日本の技術がインドの重要なインフラプロジェクトに貢献することは、二国間関係のさらなる深化を象徴する出来事となるでしょう。

インタビューで日印高速鉄道へのJR東日本E10系導入に期待を示すジョージ駐日インド大使。インタビューで日印高速鉄道へのJR東日本E10系導入に期待を示すジョージ駐日インド大使。

高速鉄道プロジェクトの現状と技術移転の推進

インド高速鉄道プロジェクトは、アーメダバードとムンバイ間を結ぶ総延長約500キロの区間を約2時間で結ぶ計画で、日本の新幹線方式が採用されています。ジョージ大使は、新型車両「E10系」の本格的な投入に先立ち、「2027年半ばには最初の列車を走らせたい」との具体的な目標を明かしました。このプロジェクトを通じ、日本の先進的な新幹線技術がインドへ移転し、現地の鉄道技術力の向上に繋がることも期待されています。

九州における半導体ハブ構想と日印協力の拡大

インドは今年4月、福岡市に総領事館を開設しました。この動きは、半導体大手である台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県進出などを踏まえたものです。ジョージ大使は、九州が「日本で半導体製造のハブになり始めた地域」であるとし、「この重要な地域に関与しないわけにはいかない」と述べました。これは、日印間の協力が高速鉄道のようなインフラ分野だけでなく、戦略的に重要な半導体産業にも拡大していることを示唆しています。

結論

インドのジョージ駐日大使の発言は、日印両国が経済、技術、外交の各分野で戦略的パートナーシップを一層強化していく姿勢を明確に示しています。特にJR東日本E10系の高速鉄道への導入、そして九州における半導体産業への関心は、今後の日印関係が多角的に発展していく可能性を強く示唆するものです。

参考文献