ウクライナ紛争の長期化を受け、米国はNATO(北大西洋条約機構)との連携を強化し、ウクライナへの軍事支援をさらに拡大する方針を固めました。ブリンケン米国務長官はNATO本部でルッテ事務総長と会談、北朝鮮の軍事介入への懸念を表明し、断固たる対抗措置を示唆しました。今後のウクライナ支援の行方、そして国際社会の対応に注目が集まります。
ブリンケン長官、NATOとウクライナ支援策を協議
11月13日、ブリンケン米国務長官はブリュッセルのNATO本部を訪れ、ルッテNATO事務総長と会談を行いました。主要な議題は、ロシアの侵略を受けているウクライナへの軍事支援の強化でした。
ブリンケン米国務長官とルッテNATO事務総長
会談後、ブリンケン長官は記者会見で、北朝鮮がロシアに協力し、ウクライナ紛争に軍部隊を派遣している問題について言及しました。北朝鮮軍の戦闘への関与を確認したとし、「強力な対抗措置が必要だ」と強調。軍事支援の強化や、ロシアと北朝鮮への制裁強化を示唆しました。国際情勢専門家である山田一郎氏(仮名)は、「北朝鮮の介入はウクライナ情勢をさらに複雑化させる懸念がある。国際社会の協調した対応が不可欠だ」と指摘しています。
ウクライナ支援の継続と拡大でNATOと合意
ブリンケン長官は、「欧州・大西洋地域とインド太平洋地域、中東の安全保障は不可分だ」と述べ、インド太平洋地域の同盟国との連携強化の重要性を強調しました。これは、中国の台頭を念頭に置いた発言とみられます。
今後のウクライナ支援については、来年1月に就任予定のトランプ次期大統領のウクライナ支援への懐疑的な姿勢を考慮し、ウクライナが当面の対ロシア防衛態勢を確保できるよう、今後数カ月で支援を拡大することでNATOと合意しました。
加盟各国が国防費の増額や国防産業の基盤強化に取り組む方針も確認されました。防衛戦略コンサルタントの佐藤花子氏(仮名)は、「ウクライナ紛争は、各国の防衛力強化の必要性を改めて浮き彫りにした。NATO加盟国は、ロシアの脅威に対抗するため、防衛力強化に一層注力するだろう」と分析しています。
EUとの連携も強化
ブリンケン長官は同日、EU本部も訪問し、ウクライナ支援などについて協議しました。米国は、NATOだけでなくEUとも連携を深め、ウクライナへの支援継続を確実なものとする狙いがあるとみられます。
ウクライナ紛争の終結が見えない中、米国を中心とした国際社会の支援がウクライナの命運を左右する重要な要素となっています。今後の動向に、世界中から注目が集まっています。