中国雲南省騰衝市にあるホテルで、日本人宿泊客の受け入れを拒否した従業員の動画がSNSで拡散され、大きな波紋を呼んでいます。日中関係の複雑さを改めて浮き彫りにするこの出来事、一体何が起こっているのでしょうか。
宿泊拒否の動画が拡散、賛否両論の声
11月6日、中国人女性が日本人と共にホテルにチェックインしようとしたところ、従業員に拒否される場面を捉えた動画がSNSで拡散されました。動画には、従業員が「我々のホテルは日本人をお断りします」と発言する様子が記録されています。この動画をきっかけに、ホテル前には従業員の行動を称賛する花束や花輪が届けられる一方、SNS上では賛否両論の意見が飛び交う事態となっています。
中国人女性と日本人宿泊客がホテルで宿泊を拒否される様子
歴史的背景とナショナリズムの高まり
騰衝市は日中戦争において激戦地となった場所であり、歴史的に日本に対する複雑な感情を抱える地域です。今回の騒動も、こうした背景が影響している可能性が指摘されています。東京財団政策研究所の柯隆主席研究員は、中国社会全体に漂うナショナリズムの空気が今回の騒動の背景にあると分析しています。SNS上では、「愛国的行動を支持する」「日本を拒否しよう」といった過激なコメントも見られ、ナショナリズムの高まりが懸念されています。
ホテル側の対応と政府の通知との矛盾
騒動を受け、ホテル側に取材を試みたところ、「香港・台湾・マカオの方しか宿泊できません」との回答がありました。しかし、中国政府は2024年7月に「外国人の宿泊を拒んではいけない」とする通知を出しており、ホテル側の対応は政府の方針と矛盾しています。さらに、一部の予約サイトには「日本人は宿泊できない」と明記されていることも判明し、ホテル側の対応に疑問の声が上がっています。
ホテル前に届けられた花束や花輪
今後の日中関係への影響
今回の騒動は、日中関係の複雑さを改めて浮き彫りにしました。民間レベルでの感情的な対立は、両国関係の改善を阻害する要因となる可能性があります。今後の日中関係の行方を見守る必要があるでしょう。
まとめ
中国雲南省のホテルで発生した日本人宿泊拒否騒動は、SNSでの拡散をきっかけに大きな波紋を広げています。歴史的背景、ナショナリズムの高まり、そして政府の通知との矛盾など、様々な要因が絡み合った複雑な問題です。この出来事を機に、改めて日中関係の現状について考えてみる必要があるのではないでしょうか。