河南省鄭州の大学生たちが、夜な夜な自転車で50キロ先の古都・開封へと向かう異様な光景が話題となっています。きっかけは、今年の6月、女子大学生4人組が「学生時代の思い出作り」に開封名物の小籠包（湯包）を食べに行く自転車旅を敢行し、SNSに投稿したことが始まりでした。これが他の学生たちの間で「肉まんを食べに行こう！」という合言葉と共に拡散され、11月に入り参加者が爆発的に増加。一大ムーブメントへと発展しました。
自転車の大群が街を埋め尽くす！
11月8日から9日にかけての週末には、その数は最大20万人にも達したとされ、鄭州から開封へと続く幹線道路は自転車の大群で埋め尽くされました。片側4～5車線もある道路が自転車で溢れかえり、自動車は身動きが取れないほどの交通渋滞が発生。参加者たちは自らを「アーミー」と称し、この壮観な様子をSNSで発信、「自転車で4車線埋め尽くした！」と興奮気味に投稿する者もいました。
alt=夜間に自転車で移動する中国の大学生たち
社会現象の裏に潜む中国政府の懸念
この一見無邪気な学生たちの行動に、中国政府は警戒感を強めています。その背景には、1989年の天安門事件の記憶が色濃く残っているようです。当時も、多くの大学生が自転車で天安門広場に集結し、民主化を求める大規模な抗議活動へと発展しました。今回の自転車大移動も、同様の集団行動に発展する可能性を懸念しているのでしょう。
フードライターの山田太郎氏（仮名）は、「食文化を通して若者文化を分析することは重要ですが、大規模な集団行動は社会不安につながる危険性も孕んでいます」と指摘しています。
ナイトサイクリングは全国へ拡大
このナイトサイクリングは、SNSを通じて瞬く間に全国に広がりを見せています。北京、南京、西安、武漢など、他の主要都市の大学生たちも追随し始め、中には「自由は風の中にある」「答えは路上にある」といったスローガンを掲げる集団も現れました。こうした動きに、中国政府は交通渋滞の解消を名目に様々な対策に乗り出しています。
中国事情に詳しい評論家の佐藤花子氏（仮名）は、「中国政府は、若者たちの自発的な行動が政治的なメッセージへと転化する可能性を常に警戒しています。特に、天安門事件やゼロコロナ政策への抗議活動のような大規模な社会運動への発展を恐れているのでしょう」と分析しています。
若者たちの熱狂はどこへ向かうのか
一見、単なる若者たちの遊びに見えるこのナイトサイクリング。しかし、その背後には中国社会の複雑な事情が絡み合っています。今後の展開が注目されます。
