近年、クマの出没が相次ぎ、人身被害も発生する中で、クマ駆除を巡る猟友会と自治体の軋轢が深刻化しています。2024年は特にその傾向が顕著で、北海道をはじめ各地で両者の関係悪化が報じられました。秋田県鹿角市でタケノコ採りの男性がクマに襲われ死亡した事件は記憶に新しいところです。今回は、ベテランハンターに匿名で取材を行い、駆除現場のリアルな現状と、彼らが抱える苦悩について迫ります。
増加するクマ出没と猟友会の負担
クマ出没のニュース記事
クマの目撃情報は年々増加傾向にあり、住民からの駆除要請も増加しています。猟友会は地域の安全を守るため、駆除に尽力していますが、法的な手続きや自治体との連携不足により、迅速な対応が難しい現状があります。
迅速な対応を阻む法的手続き
クマ駆除を行うには、自治体からの発砲許可が必要不可欠です。しかし、手続きには時間がかかり、許可が下りる頃にはクマが移動してしまっているケースも少なくありません。迅速な対応を阻む要因の一つとなっています。
情報不足と連携不足
猟友会メンバー
駆除現場で指揮を執る警察官には、クマの習性や山の地形に精通した人が少ないのが現状です。クマの種類、目撃場所の環境、目撃からの経過時間など、駆除に不可欠な情報が不足していることが多く、効率的な駆除を難しくしています。また、猟友会との連携も不足しており、現場のハンターの意見が軽視されるケースもあるとのこと。ベテランハンターのA氏は「警察は『お願いします』と言うだけで、自分たちは後方に陣取って我々だけを先に行かせる。そこからこうして撃ちたいと伝えても、ダメだと否定されることも多い」と証言しています。
責任の所在と猟友会の苦悩
クマ駆除がうまくいかない場合、その責任は猟友会に押し付けられることが多いといいます。A氏は「何か問題があると全ては我々のせいにさせられる」と現状を嘆きます。 狩猟免許を持つハンターの高齢化も深刻な問題であり、後継者不足も深刻化しています。これらの問題が、クマ駆除の効率化を阻み、地域住民の安全を脅かす要因となっています。
クマ問題解決への道筋
クマ問題の解決には、猟友会と自治体、警察の連携強化が不可欠です。クマの生態に関する知識の共有、迅速な情報伝達システムの構築、そして駆除現場での適切な役割分担が求められます。また、地域住民への啓発活動も重要です。クマとの共存を模索しながら、被害を最小限に抑えるための対策が必要です。
まとめ
クマ出没による被害を防ぐためには、猟友会の負担軽減、そして関係機関との連携強化が不可欠です。今回の取材を通して、ベテランハンターの苦悩と現場のリアルな現状が明らかになりました。クマ問題解決に向け、社会全体で取り組む必要があると言えるでしょう。
