ウクライナ情勢緊迫:バイデン大統領、長距離ミサイル「ATACMS」のロシア領内使用を承認、北朝鮮軍も標的に

ウクライナ紛争の行方がますます不透明さを増しています。ジョー・バイデン米大統領が、米国供与の長距離ミサイル「ATACMS」をウクライナ軍がロシア領土への攻撃に使用することを承認したというニュースが世界を駆け巡りました。この決定は、クルスク州での戦闘に北朝鮮軍が加わっているという情報を受け、ロシアへの更なる圧力、そして北朝鮮への抑止力として機能することを意図していると考えられます。

ロシア領内攻撃容認の背景:クルスク州における北朝鮮軍の存在

今回のバイデン大統領の決断は、ロシアがクルスク州奪還を目指し、北朝鮮軍を含む大規模な兵力を投入しているという状況を大きく反映しています。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの報道によると、ロシアはウクライナ軍に奪われたクルスク州の奪還を目指し、5万人の兵力を投入。その中には1万人規模の北朝鮮軍も含まれているとされ、米国当局者もこの情報を認めています。

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米当局者は、この北朝鮮軍の参戦がバイデン大統領の決断を後押しする重要な要因になったと説明しています。ロシアを刺激し、紛争拡大の懸念がある一方、北朝鮮の行動に「代償」を払わせ、更なる派兵を阻止する必要性をバイデン大統領は重視したとみられています。ウクライナ側からは、北朝鮮軍の派兵規模が10万人まで増える可能性も指摘されており、事態は緊迫しています。

ATACMS:その威力と影響

射程距離300kmを誇るATACMSは、ウクライナ軍にとって大きな戦力となります。当初、米国はロシアへの刺激を避けるため、射程距離の短い旧型ATACMSのみを供与していました。しかし、今年4月からは新型の供与を開始。今回、その使用制限が解除されたことで、ウクライナ軍はクルスク州に展開するロシア軍、そして北朝鮮軍への攻撃が可能となります。

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米当局者は、ATACMSはクルスク州におけるウクライナ軍の防衛を最優先として使用されるとの見方を示しています。その後、バイデン大統領は他の地域での使用も許可する可能性があるとされています。

終戦交渉への影響と今後の展望

バイデン大統領のこの決断が、膠着状態にあるウクライナ紛争の行方にどのような影響を与えるかは未知数です。しかし、北朝鮮の更なる派兵を牽制し、ウクライナがクルスク州における優位性を維持することで、今後の終戦交渉を有利に進める狙いがあるとの見方も出ています。

食糧問題専門家の山田一郎氏(仮名)は、「北朝鮮の食糧事情は逼迫しており、ロシアからの経済的支援の見返りとして兵士を派遣している可能性が高い。ATACMSの投入は、北朝鮮への圧力となり、更なる派兵を抑制する効果が期待できる」と分析しています。

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一方、次期大統領選への影響も懸念されます。軍事支援に懐疑的なドナルド・トランプ氏の政権復帰の可能性を前に、バイデン大統領は任期最後までウクライナ支援の姿勢を明確に示した形となります。しかし、この決断が今後の米ロ関係、そして北朝鮮との関係にどのような波紋を広げるのか、予断を許さない状況が続きます。