大切な人を亡くした時、深い悲しみや喪失感に襲われるのは当然のことです。この辛く悲しい時期を乗り越えるためのヒントを、グリーフケアの専門家である関西学院大学「悲嘆と死別の研究センター」坂口幸弘センター長と赤田ちづる客員研究員の著書『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』を参考に、分かりやすく解説します。
周囲の期待と本当の自分
大切な人を亡くすと、周囲から「しっかりしなきゃ」「頑張って」といった励ましの言葉をかけられることがあります。もちろん、周りの人は良かれと思って声をかけてくれているのですが、それがプレッシャーになってしまう場合もあるでしょう。
10年前に父親を亡くした30代の男性は、母親の病弱もあり、「これからはあなたがお母さんを守るのよ」と周囲から言われ続け、20代のほとんどを家族の支えに費やしたそうです。「友人たちが旅行や恋愛を楽しんでいる間、自分にはそんな時間はありませんでした」と語っており、周囲の期待に応えようとするあまり、自分の感情を抑え込んでしまうケースは少なくありません。
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SNSとの付き合い方
SNSは友人や知人との繋がりを保つ便利なツールですが、時に心を傷つける原因にもなります。何気ない投稿写真が、自分だけが取り残されているような疎外感を生み出すこともあるのです。夫を亡くした40代の女性は、SNSで友人家族の旅行写真を見て辛い気持ちになったと語っています。
自分らしいペースで悲しみと向き合う
周囲の期待やSNSの情報に振り回されず、自分のペースで悲しみと向き合うことが大切です。無理に元気な自分を演じたり、他の人と比較したりする必要はありません。グリーフケアの専門家、例えば「悲嘆と死別の研究センター」の坂口幸弘センター長は、「悲しみを乗り越えるには時間が必要であり、それぞれのペースで良い」と提言しています。
悲しみを癒すヒント
グリーフケアの専門家、赤田ちづる客員研究員は、亡くなった人への手紙を書くことを勧めています。手紙を書くことで、自分の気持ちと向き合い、整理することができるからです。また、「天国とつながるポスト」のような取り組みも、悲しみを癒す一つの方法として注目されています。
専門家のサポート
悲しみが辛い時は、一人で抱え込まずに専門家のサポートを受けることも考えてみましょう。グリーフケアの専門家は、あなたの気持ちに寄り添い、適切なアドバイスを提供してくれます。
自分自身を大切にする
大切な人を亡くした悲しみは、簡単に消えるものではありません。しかし、時間をかけて少しずつ、悲しみを受け入れ、前を向いていくことができます。自分自身を大切にし、周りの人に頼りながら、ゆっくりと心の傷を癒していきましょう。