ウクライナ軍がアメリカから供与された地対地ミサイルATACMSを初めてロシア本土へ使用したことを受け、ロシアのラブロフ外相は報復を示唆しました。プーチン大統領は同日、核兵器使用基準を緩和する大統領令に署名し、国際社会から非難の声が上がっています。
ウクライナ軍、ATACMSでロシア本土攻撃
ウクライナ軍によるATACMSの使用は、ロシア西部ブリャンスク州への攻撃で確認されました。ロシア高官がAFP通信に明らかにした情報で、具体的な被害状況は未だ不明です。この攻撃は、ウクライナ紛争の新たな局面を示唆するものとして、国際社会の緊張を高めています。
ウクライナ軍の地対地ミサイル発射の様子
ラブロフ外相、西側諸国を非難し報復を示唆
ラブロフ外相は、G20サミットの記者会見でこの攻撃について言及し、西側諸国がウクライナ紛争を激化させていると非難しました。そして、ロシアは適切な形で対応すると警告し、更なる緊張の高まりが懸念されています。専門家の中には、この「適切な対応」とは、更なる軍事行動を示唆するものではないかと推測する声も上がっています。例えば、国際安全保障研究所の田中一郎氏(仮名)は、「ロシアの反応は、ウクライナへの更なる攻撃、もしくは西側諸国への何らかの対抗措置となる可能性が高い」と分析しています。
プーチン大統領、核兵器使用基準緩和
ウクライナ侵攻開始から1000日目にあたる19日、プーチン大統領は核兵器の使用基準を緩和する大統領令に署名しました。具体的には、従来の「国家存亡の危機」に加え、「通常兵器による攻撃で国家の機能が脅かされる場合」にも核兵器の使用を可能とする内容です。この決定は、アメリカ、イギリス、EUから「無責任」と強い批判を受けています。核兵器の使用基準緩和は、国際社会の安全保障体制を揺るがす重大な出来事であり、今後の動向が注視されています。
プーチン大統領
今後の展望
ウクライナ軍によるATACMS使用とプーチン大統領の核兵器使用基準緩和は、ウクライナ紛争の更なる泥沼化を予感させます。国際社会は、事態の悪化を防ぐため、外交努力を強化する必要があるでしょう。今後のロシアの動向、そして国際社会の対応に注目が集まっています。