孤独な妊婦を支える「キミノトナリ」:妊娠SOSに寄り添う仙台の光

妊娠という人生の大きな転機に、一人で立ち向かわなければならない女性たちがいます。誰にも相談できず、不安と孤独を抱えながら、彼女たちはどのような状況に置かれているのでしょうか。この記事では、そんな妊婦たちを支援する仙台の団体「キミノトナリ」の活動を通して、妊娠をめぐる社会問題と支援の現状に迫ります。

妊娠SOS:10代から40代まで、様々な背景を持つ女性たちの声

「14歳です。妊娠しました。助けてください」「妊娠が発覚し相手に伝えたところラインをブロックされ困っています」――「キミノトナリ」には、このような悲痛なSOSが全国から寄せられています。代表の東田美香さんによると、相談者の95%は中絶を希望しており、年齢層は13歳から40代までと幅広いそうです。彼女たちは親や友人にも相談できず、パートナーもいない、まさに孤立無援の状態です。

若い妊婦の画像若い妊婦の画像

つむぎさんのケース:交際相手からの裏切りと出産への決意

関東出身の20代、つむぎさん(仮名)は妊娠9ヶ月で、まもなく出産を迎えます。家族とは疎遠で、友人を頼って仙台に移り住んだ矢先に妊娠が発覚。交際相手からは「産んでも面倒は見ない」と突き放され、途方に暮れました。中絶も考えましたが、火葬という現実を突きつけられ、産むことを決意したのです。

つむぎさんのように、予期せぬ妊娠によって精神的に不安定な状態に陥る女性は少なくありません。彼女たちは誰にも頼ることができず、深刻な孤立状態に追い込まれてしまうのです。

「キミノトナリ」:寄り添う支援と社会問題への挑戦

キミノトナリの代表、東田美香さんの画像キミノトナリの代表、東田美香さんの画像

4年前、弁護士や助産師ら15人で設立された「キミノトナリ」は、妊娠に関する相談窓口「妊娠SOS」を運営しています。SNSを通じて相談を受け付け、アドバイスだけでなく、病院や行政窓口への付き添いなど、きめ細やかなサポートを提供しています。これまでに寄せられた相談は延べ2300件にものぼります。

妊娠をめぐる深刻な現実:孤立出産と子の死亡

最悪の場合、孤立した妊婦が子どもを殺めてしまうケースも発生しています。国の調査によると、過去18年間で176人の赤ちゃんが遺棄や暴力によって出産当日に亡くなっています。 「キミノトナリ」のような支援団体の存在は、このような悲劇を防ぐためにも不可欠です。

著名な産婦人科医である山田先生(仮名)は、「予期せぬ妊娠は誰にでも起こりうることであり、社会全体でサポートしていく必要がある」と指摘しています。

まとめ:妊娠SOSから未来への希望へ

「キミノトナリ」の活動は、孤立した妊婦たちに寄り添い、希望の光を灯す重要な役割を担っています。妊娠という大きなライフイベントを一人で抱え込まず、誰かに相談できる場所があることを知ってほしい。そして、社会全体でこの問題に向き合い、支援の輪を広げていくことが必要です。