【訃報】爆笑王・桂雀々さん、64歳で逝去。波乱万丈の人生と笑いに捧げた生涯

落語界に衝撃が走りました。「上方落語の爆笑王」として広く愛された桂雀々(かつら・じゃくじゃく)さんが、11月20日、64歳という若さでこの世を去りました。本名・松本貢一さん。葬儀は近親者のみで執り行われたとのことです。謹んでお悔やみ申し上げます。

笑いの裏に隠された壮絶な過去

雀々さんは、その豪快なオーバーリアクションとマシンガントークで多くの観客を笑いの渦に巻き込んできました。しかし、その明るい笑顔の裏には、壮絶な少年時代がありました。小学校6年生で母親が蒸発、中学1年生の時には父親に無理心中を迫られるという壮絶な経験をしています。電気もガスも止められた家で、借金取りに怯える日々を送っていたそうです。

桂雀々さんの笑顔桂雀々さんの笑顔

そんな雀々さんを支えたのが、ラジオから流れてきた落語「狸の賽」でした。噺の中に自身の境遇を重ね合わせ、何度も繰り返し聞いてはノートに書き写し、覚えたそうです。そして、学校で披露すると、友人や先生は大爆笑。これが、雀々さんが「笑わせる人になろう」と決意するきっかけとなりました。

上方落語の継承者、そして東京へ

1977年、上方落語の巨匠・故桂枝雀さんに入門。師匠譲りの爆笑落語で人気を博し、関西で不動の地位を築きました。2011年には芸歴35周年を迎え、活動の拠点を東京に移します。俳優としても活躍の場を広げ、2020年にはNHK・BSプレミアムのドラマ「贋作男はつらいよ」で初主演を務めました。

笑いへの情熱、そして「スーパー落語」の誕生

常に笑いへの情熱を燃やし続けた雀々さん。2018年には、東京・明治座、大阪・新歌舞伎座といった大舞台で独演会を開催。照明や回り舞台を駆使した「スーパー落語」を披露し、大きな話題を呼びました。

桂雀々さんと北村一輝さん桂雀々さんと北村一輝さん

突然の訃報、そして惜しまれる声

10月下旬、ゴルフに向かう途中に倒れ、救急搬送。一時は回復の兆しを見せましたが、11月に入り再び容態が悪化。所属事務所は15日に持病の糖尿病による入院加療を公表していました。突然の訃報に、落語界だけでなく、多くのファンが悲しみに暮れています。

笑いに生きた人生

「生きざまそのものが落語になりたい」と語っていた雀々さん。その波乱万丈の人生と笑いに捧げた生涯は、多くの人々の心に深く刻まれることでしょう。

ご冥福をお祈りいたします。