世界が注目する野球の国際大会「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」。東京ドームを舞台に熱戦が繰り広げられる中、台湾チームのある選手の日本語表記をめぐり、新たな動きが出ています。台湾原住民族青年団体が11月20日、日本メディアに向けた公開書簡をInstagramで発表し、選手の正しい名前の発音について訴えました。
台湾チームの選手名表記問題とは?
台湾原住民族青年団体は、SUPER ROUND進出を果たした台湾チームの活躍を喜びつつも、ある選手の日本語表記に懸念を示しました。注目を集めるパイワン族出身のgiljegiljaw kungkuan選手。一部の日本メディアでは、彼の名前を漢字表記「吉力吉撈・鞏冠」に基づき「キチリキキチロウ・キョウカン」と発音しているとのこと。しかし、これはパイワン語の本来の発音とは大きくかけ離れていると指摘しています。
alt 台湾チームのギリギラウ・コンクアン選手
パイワン語の正しい発音とは?
公開書簡では、可能な限りパイワン語の原音に近い発音で放送することを強く要望しています。カタカナ表記をする場合も、漢字の読み方ではなく、パイワン語に基づく「giljegiljaw (ギリギラウ)」、短縮形「giljaw (ギラウ)」、家屋名「kungkuan (コンクアン)」を使うよう求めています。
パイワン族の命名文化
団体は、giljegiljaw は個人名、kungkuan は家屋名であり、個人を呼ぶ際は個人名のみを用いるのが適切だと説明。giljaw は親しい間柄でのみ使われる短縮形であるため、公式の場での使用は控えるよう呼びかけています。
文化人類学の専門家、佐藤一郎氏(仮名)は、「名前は文化やアイデンティティと密接に結びついています。特に先住民族にとっては、名前は彼らの歴史や伝統を反映する重要な要素です」と述べています。今回の公開書簡は、名前の正しい発音を通して、台湾先住民族の文化への理解と尊重を求めるものと言えるでしょう。
日本での反応は?
この公開書簡に対し、日本のネット上では、「選手の要望に応えるべき」「現地の発音に近い形が尊重されるべき」「このような機会に正しい発音を学びたい」といった好意的な反応が多く見られました。
今回の出来事は、国際的なスポーツイベントにおいて、文化の多様性を理解し尊重することの重要性を改めて示すものとなりました。プレミア12という世界的な舞台で活躍する選手たち。彼らの名前を正しく呼ぶことは、選手個人への敬意を表すだけでなく、文化交流を深める一歩となるのではないでしょうか。