火葬場、それは人生の最期を見送る場所。普段はベールに包まれたその世界には、私たちが知らない驚くべき真実や数々の決まり事が存在します。今回は、元火葬場職員の下駄華緒さんの著書『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』(漫画:蓮古田二郎)を参考に、火葬場の知られざる一面を紐解いていきます。
ご遺体から赤ちゃん?戦後日本で起きた衝撃の事件
1940年代、ガンで亡くなった男性の火葬中に、信じられない出来事が起こりました。なんと、ご遺体から2体の赤ちゃんが飛び出してきたのです。遺体の取り違え以外考えられないこの事態に、火葬は直ちに中断され、警察が捜査に乗り出しました。そして明らかになった真相は、誰もが言葉を失うほど衝撃的なものでした。
alt: 火葬炉のイメージ
担当医であった若き外科医は、研究のために遺族に無断で臓器を摘出。摘出した腹部を隠すため、なんとホルマリン漬けの赤ちゃんを詰め込んで縫合していたのです。火葬による熱で遺体が膨張し、隠されていた赤ちゃんが露わになったのでした。
alt:ホルマリン漬けの赤ちゃんイメージ
火葬場職員の機転と隠された真実
この事件は、火葬場職員の機転によって真相が解明されました。異変に気づき、すぐに火を止めたことで、赤ちゃんの存在が明らかになったのです。もし少しでも遅れていたら、赤ちゃんの骨は灰となって消え、事件は永遠に闇に葬られていたかもしれません。
火葬場の様々な決まり事:ペースメーカーから霊柩車のルートまで
火葬場には、遺体の取り違え以外にも様々な決まり事があります。例えば、心臓ペースメーカーや腕時計は、火葬中に爆発する危険性があるため、取り外す必要があります。
また、ご遺体を火葬炉に納めた後は、現世に引き戻すことを避けるため、二度と炉から出してはいけないという決まりもあります。そのため、霊台車はバック禁止。一度で正確に炉へ納める技術が求められます。
さらに、霊柩車も前進のみで、Uターンやバックは禁止されています。学校の前を通らないなど、自治体や地域独自のルールも存在します。葬儀場から火葬場までのルートは、事前に綿密に計画されるのです。
ただし、故人の生前の希望を尊重し、例えば入院中に帰宅を望んでいた方の場合は、自宅近くを通るなどの配慮を行う葬儀会社もあるそうです。
ご遺体と向き合う火葬場職員の丁寧な仕事と、知られざる火葬場の決まり事。それらは、故人を弔う最後の儀式を滞りなく行うための大切な要素と言えるでしょう。