激戦続くウクライナ東部ドネツク州。要衝都市ブフレダル陥落の余波は大きく、ウクライナ軍は苦境に立たされています。ロシア軍は疲弊しながらも攻勢を続け、ブフレダル西方のベリカ・ノボシルカに迫っています。この小さな町は、ウクライナ軍にとってドネツク州防衛の重要な拠点となっています。しかし、戦況は予断を許しません。
ブフレダル陥落、ドネツク州防衛網に亀裂
2年にわたり、ブフレダルはウクライナ軍の堅固な砦として機能してきました。第72独立機械化旅団は、度重なるロシア軍の攻撃を凌ぎ、防衛線を維持してきました。しかし、ウクライナ軍司令部は、クルスク州への反攻作戦に兵力を集中させたため、ブフレダルへの十分な増援を送ることができませんでした。結果として、9月末、第72機械化旅団はブフレダルからの撤退を余儀なくされました。この撤退は、ドネツク州南部のウクライナ軍防衛網に大きな亀裂を生じさせ、250平方km以上の領土を失うこととなりました。
alt:ウクライナ軍のドローンに破壊されたロシア軍車両
ベリカ・ノボシルカ:ウクライナ軍、半包囲の危機
ベリカ・ノボシルカは、ブフレダルの西に位置する戦略的に重要な町です。ロシア軍は、この町を東西から挟撃しようと攻勢を強めています。OSINTアナリストのアンドルー・パーペチュア氏は、「ベリカ・ノボシルカの状況は極めて深刻だ。迅速な対応が必要だ」と警鐘を鳴らしています。
ロシア軍は、改造した砲牽引車や、通称「亀戦車」と呼ばれる装甲車両などを投入し、ベリカ・ノボシルカへの攻撃を仕掛けています。しかし、ウクライナ軍のドローン部隊による反撃を受け、多くの車両が破壊されました。これらの車両は、第131自動車化狙撃連隊、第37自動車化狙撃旅団、または第40海軍歩兵旅団に所属していたと推測されています。
防御線の脆弱性、ウクライナ軍の苦境
ベリカ・ノボシルカには堅固な防御施設が築かれていますが、その防御は主に南からの攻撃を想定したものであり、北や東からの攻撃には脆弱です。ロシア軍の一部は、ベリカ・ノボシルカを迂回し、東側から進撃することに成功しました。パーペチュア氏は、「ベリカ・ノボシルカの防御は、南からの攻撃を想定しており、北や東からの攻撃に対しては脆弱だ」と指摘しています。領土防衛軍の第48独立強襲大隊、陸軍の独立大統領旅団、国家親衛隊の第17独立旅団など、ベリカ・ノボシルカを防衛するウクライナ軍部隊は、半包囲される危険に直面しています。
ウクライナ軍の精鋭部隊の多くは、依然としてクルスク州に展開しており、ドネツク州の戦線を安定させることが困難な状況です。軍事専門家(仮名:佐藤一郎氏)は、「ウクライナ軍は、クルスク州への反攻作戦とドネツク州の防衛のバランスを取る必要に迫られている。ベリカ・ノボシルカの陥落は、ドネツク州の戦況をさらに悪化させる可能性がある」と述べています。
ドネツク州の運命は?
ベリカ・ノボシルカの戦いは、ドネツク州全体の戦況を左右する重要な局面となっています。ウクライナ軍は、いかにしてロシア軍の攻勢を食い止め、防衛線を維持できるのでしょうか。今後の戦況に注目が集まります。