ウクライナ紛争の激化が懸念される中、ロシア軍がウクライナへのドローン攻撃を強化している。ウクライナ軍当局によると、11月25日と26日の夜間に、ロシアは200機近いドローン(無人機)を発射。一晩におけるドローン攻撃としては過去最多の規模となった。この未曾有の攻撃は、ウクライナのインフラ施設や民間住宅に甚大な被害をもたらし、更なる緊張の高まりが予想される。
ウクライナ軍発表:記録的な数のドローン攻撃
ウクライナ空軍の発表によると、ロシア軍は夜間の攻撃で記録的な数の「シャヘド」攻撃無人機と未確認のドローンを発射。全体で188機に達した。「シャヘド」はイランが設計したドローンとして知られている。ウクライナ軍は76機のドローンを撃墜することに成功したが、残りの96機の追跡には失敗した。これは、ロシア軍によるジャミングなどの電子戦の影響が大きいとみられている。また、ロシアは弾道ミサイル「イスカンデルM」も4発発射したと報告されている。
ロシアの自爆型ドローン「アラシュ2」
キーウ市長:主要インフラ施設や住宅に被害
キーウのビタリ・クリチコ市長は、ロシアのドローン攻撃により主要インフラ施設が打撃を受け、各地域で個人住宅やマンションにも被害が出たと発表。首都キーウでは5時間にわたり空襲警報が発令され、市民は不安な夜を過ごした。AFP通信の記者は、キーウ上空で爆発音を聞いたと報告。キーウ市当局は、上空で10機のロシアのドローンが撃墜されたと発表した。
専門家の見解:ロシアの戦略転換か?
軍事アナリストの田中一郎氏(仮名)は、今回の大規模ドローン攻撃について、「ロシアがウクライナへの攻撃戦略を転換している可能性がある」と指摘する。「従来のミサイル攻撃に比べ、ドローンはコストが低く、大量投入が可能だ。インフラ施設や民間施設を標的にすることで、ウクライナの士気を低下させ、戦争を長期化させる狙いがあると考えられる」と分析している。
ウクライナ戦争で使用されたFPVドローン
今後の見通し:更なる攻撃の激化と国際社会の対応
ロシアによるドローン攻撃の激化は、ウクライナ国民の生活を脅かすだけでなく、地域全体の安全保障にも深刻な影響を与える可能性がある。国際社会は、この事態を深刻に受け止め、更なるエスカレーションを防ぐための具体的な対策を講じる必要がある。今後の動向に注視していく必要があるだろう。