九州や四国を中心に、早くも店頭に並び始めた早場米の価格が高騰しており、スーパーでは5キロあたり4000~5000円台の高値で販売されています。2025年産のコメは、高温障害などの影響で収穫量が懸念される一方で、農業協同組合(JA)が農家に支払う「概算金」(仮払金)が大幅に増額されており、今後もコメの高値傾向が続く見通しです。
高知県南国市で収穫された早場米が袋詰めされる様子
スーパー店頭で高値続く早場米
九州や四国では7~8月に収穫される早場米の生産が盛んで、8月には新米が消費者の元に届き始めています。例えば、福岡市内のスーパー5店で宮崎県産コシヒカリの価格を見ると、5キロ入りの税込み価格は4190円から5162円と、昨年を大幅に上回る水準です。あるスーパーの担当者は、新米を楽しみにしている顧客のために「価格はかなり頑張った」と述べ、売れ行きはまずまずであると報告しています。
JAによる概算金の大幅増額が相次ぐ
新米の価格を押し上げる一因となっているのが、JAが農家に支払う概算金の大幅な引き上げです。60キロあたりの価格では、JA高知県が早場米コシヒカリを昨年比49%増の2万2000円に設定。JA全農にいがたも一般のコシヒカリを76%増の3万円としました。また、JA全農山形はつや姫を59%増の3万1000円に決定。JA福井県はハナエチゼンの概算金を当初2万3000円としていましたが、他地域の動向を鑑み、8月中旬には昨年比75%増となる2万8000円に引き上げるなど、各地で増額の動きが加速しています。
コメ価格高騰の背景と今後の見通し
概算金が増額された背景には、肥料や燃料などの稲作にかかる生産コストの上昇に加え、JA以外の集荷業者とのコメの買い取り競争が激化している状況があります。さらに、北陸地方などで猛暑や水不足が続き、作柄への悪影響が懸念されており、全国的なコメの供給不安も価格高騰に拍車をかけています。
あるスーパーの担当者は「今後も銘柄米が5キロ4000円を割る状況は考えにくい」と述べ、消費者が価格を選択できるよう、輸入米などの販売も検討する意向を示しました。福岡市の米穀店主は「生産者からの情報収集では、全国的なコメの争奪戦が過熱したままだ」との見方を示し、今年も店頭価格は5キロで4500円から5500円程度になるだろうと予測しています。
まとめ
2025年産の早場米は、収穫量の懸念や生産コストの上昇、そして激化するコメの買い取り競争を背景に、記録的な高値で取引されています。JAによる概算金の大幅増額は農家の経営を支援する一方で、消費者の食卓に影響を与えることが予想されます。今後もこの高値傾向が続く可能性が高く、日本の食料品価格動向において注目される状況が続くでしょう。
参考文献:
- Yahoo!ニュース: 「コメ支援」に取り組む主な自治体 – 毎日新聞 2025年6月12日
- 毎日新聞: 2025年8月20日掲載記事より