ウーバーイーツで配達する商品、依頼数、チップ……。この1年で大きく変化したこととは?【チャリンコ爆走配達日誌】


ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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2018年の正月に初めてウーバーイーツの配達をしてからまもなく7年。この間、配達するものや配達を依頼する人、配達で得られる収入など、いろいろと変化はありましたが、中にはわずか1年で変わってしまったものもあります。

そこで今回は、私が配達していて感じた、1年前と大きく様変わりしたことを紹介します。

あくまで私感なので、バイクで配達されている方や、私と異なるエリアで配達されている方にとって「それは違うのでは」と感じることもあるかもしれませんが、「あなたのところではそんな状況になっているのね」ぐらいの感じで読んでいただけたらと思います。

ガクンと減ったと感じるのは、タピオカドリンクの配達。

私がウーバーの配達を始めた2018年はタピオカドリンクがブームの時代。繁華街だけでなく住宅街の中にもタピオカドリンクを販売する店があり、商品を受け取りに行く際「こんなところに店があるのか?」と思ったこともしばしばありました。

世間的にブームが落ち着いた2019年も、タピオカドリンクの注文はしょっちゅう入っていました。その頃はひとり暮らしの男性への配達が多く、「飲みたいけどお店で買うのは恥ずかしい」という人が注文していたのでしょう。その後、コロナで外出の自粛が呼びかけられた2020年から2022年もブームの時ほどではないですが、1週間に2、3回ほど個人宅への配達がありました。

2023年に入ってからはオフィスへ大量のタピオカドリンクを運ぶ依頼が結構ありました。リモートワークからオフィスワークへと切り替わった会社が、社員への気遣いとしてドリンクを注文したのでしょう。

ところが、今年に入ってから2週に1回入るか入らないかぐらいまで配達依頼が一気に減少しました。ハッキリとした原因はわかりませんが、コロナ前まで主流だったひとり暮らしの方に20時過ぎの食後の時間帯に届けたり、専業主婦の方が家事を終えてひと段落する14時過ぎの時間帯に届けたりすることが皆無になったこと。オフィスへの大量の配達がなくなったことから「配達料のかかるウーバーでドリンクだけを注文するのは割高」「出社するのも慣れただろうから、経費をかけて社員を気遣わなくて大丈夫」と判断したのでしょう。

タピオカと同じく、節約の理由から減ったと思われるのはチップです。

私が配達する東京都の中央区、港区あたりでは、都内で週に50配達ほどのペースで運んでいると、週に1、2回ほどチップがもらえる機会がありました。外国人観光客が宿泊しているホテルへ運んだ場合やタワーマンションの最上階に住む方へ届けた場合はかなりの高確率でもらえましたが、最近は2、3ヶ月に一度あればラッキーという感じです。

日本に観光で来る外国の方が増え、「日本ではチップを払う必要がない」ことが普及したのでしょう。また、タワーマンションに住む方もお金があるから住むのではなく、投機目的で購入した人から賃貸で借りている方もいるのでしょう。私の場合は今年の8月にいただいて以来、チップによる収入はありません。感覚的にはチップがもらえる頻度、金額とも昨年の5分の1という感じです。

配達で減ったのはガチ中華の店からの依頼。

緊急事態宣言が出ていた頃はテイクアウト専門店として営業。深夜にガチ中華の店を訪れると、閉鎖されている飲食用のスペースに毛布を持ち込み、客席の椅子に横たわり、毛布をかけて寝ている奥さんと、厨房で鍋を振っているご主人、という光景をよく見かけました。それがコロナ後は注文が徐々に減り、19時から21時の時間帯、週に数回運ぶだけに。それが最近ではまったく配達依頼がありません。

こちらもいろいろ要因はあると思われますが、考えられるのはガチ中華がブームになってウーバーをやらなくてもお客さんが入るようになった、もしくはウーバーイーツに支払う手数料が高いのでやめたかのどちらかだと思います。

先ほど書いたように、ガチ中華の店をやられている方は、儲けるチャンスがあればガツガツ働くタイプ。儲からないツールと判断したら、スパッとやめる決断をしているのかもしれません。また、店に多く客が来るようであれば、手間のかかるウーバーをやる必要はないでしょう。

このように、たった1年で大きく変わってしまう配達員界隈の事情。そんな変化に柔軟に対応しつつ、今後も配達を続けていこうと思います。

文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明



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