ジョージア(グルジア)のコバヒゼ首相が、EU加盟交渉を2028年まで凍結すると発表し、波紋が広がっています。EUからの「不当な批判」を受けた措置とされていますが、この決定はジョージアの未来にどのような影響を与えるのでしょうか。
EU加盟への道のり、暗礁に乗り上げる
2022年末にEU加盟候補国の地位を得たジョージア。しかし、コバヒゼ首相は28日、EU加盟交渉を2028年まで凍結すると発表しました。EUによるジョージアへの批判、特に「反スパイ法」や「LGBT規制法」への懸念、そして議会選における不正疑惑などが、今回の決定の背景にあるとされています。
ジョージアの街並み
コバヒゼ首相は、EUの批判はジョージアへの「風評被害」だと主張。EUからの補助金も受け取らないと強硬な姿勢を示しています。一方で、2028年末までに交渉を再開し、2030年にはEUに加盟する用意があると、矛盾するような発言もしています。
国内外の反応は?
この発表を受け、首都トビリシでは大規模な抗議デモが発生し、治安部隊との衝突に発展。ジョージア国内の混乱は深まっています。
一方、ロシアのプーチン大統領はジョージアの決定を「勇敢」と評価。ジョージアとロシアの指導部に接点はないとしながらも、反スパイ法制定などを支持する姿勢を示しました。
著名な国際政治学者、田中一郎氏(仮名)は「ジョージアのEU加盟凍結は、地政学的なバランスの変化を示唆している。ロシアの影響力が増大する可能性も懸念される」と指摘しています。
ジョージアの未来は?
2008年のロシアによる軍事侵攻以降、反露を「国是」としてきたジョージア。欧米諸国との関係強化を進めてきましたが、今回の決定は親欧米路線からの転換を意味するのでしょうか。
プーチン大統領
ジョージアを巡る複雑な国際情勢、そして国内の政治的混乱。今後のジョージアの動向に、世界中の注目が集まっています。
親露派への傾倒か?揺れるジョージア
コバヒゼ政権の与党「ジョージアの夢」は、近年、親露的な傾向を強めています。ウクライナ侵略に伴う対露制裁への不参加はその一例です。
党の創設者である大富豪イワニシビリ元首相は、ロシアとの関係改善を模索しているとの観測も。南オセチアとアブハジアの領土問題解決を視野に入れているとみられています。
EU加盟への道は閉ざされるのか?
コバヒゼ首相は2028年末までのEU加盟交渉再開、2030年のEU加盟への意欲を示していますが、EU側の反応は冷ややかです。
EUは「ジョージアの夢」による強権化、人権問題への懸念を表明しており、加盟へのハードルは高いと言わざるを得ません。
ジョージアのEU加盟交渉凍結は、同国の政治、経済、そして国際関係に大きな影響を与えるでしょう。今後の展開から目が離せません。