【アメリカ大統領選2024】トランプ勝利の鍵は「大衆の共感」?民主党敗北に見る”上から目線”の落とし穴

アメリカ大統領選2024でドナルド・トランプ氏が勝利を収めた要因と、民主党敗北の背景について、イギリス人の視点から分析します。民主党の敗因は、有権者を見下すような”上から目線”の姿勢にあると言えるでしょう。

民主党の敗北:有権者との乖離

民主党は、自分たちが「善」であり、勝利は当然のものと考えていた節があります。表向きは「全ての有権者のために戦う」と主張しながらも、実際に行動はそれを裏切っていました。

後継者選びの失敗

まず、民主党はバイデン大統領の任期当初から後継者育成に着手すべきでした。2020年の大統領選でトランプ氏に勝利したバイデン氏が、2024年の選挙にも適任者とは限りません。開かれた予備選挙を実施していれば、候補者の長所・短所を明確にできたはずです。しかし、実際にはバイデン氏の撤退とカマラ・ハリス氏の指名という、遅すぎる展開となりました。

altaltタワーブリッジに掲げられたトランプ氏批判の看板。イギリスでもハリス氏の知名度は低く、副大統領としての功績も疑問視されていました。

ハリス氏には確かに資質があるかもしれませんが、アメリカ国内でもそれは広く知られていませんでした。イギリスでは「ハリス氏って誰?」という認識が一般的でした。副大統領としての彼女の業績は平均以下とされ、当初は「不適格」とさえ思われていました。

ナンバー2のジレンマ

副大統領は、大統領を「補完する」存在であることが多いです。バイデン大統領の場合、黒人女性で若いハリス氏は、高齢の白人男性であるバイデン氏とは異なる層へのアピールを期待されていました。しかし、真に有能な人物がナンバー2に選ばれることは稀です。マキャベリの理論によれば、政治リーダーは自身を脅かす可能性のある人材をナンバー2に据えることは避ける傾向があります。

民主党は、ハリス氏を大統領候補に擁立することで、あたかもトランプ氏に対抗できる素晴らしい候補者であるかのように見せかけました。しかし、この戦略は選挙戦全体を通して裏目に出てしまいました。

トランプ氏の成功:大衆への共感

一方、トランプ氏は有権者の心に共感を呼ぶことに成功しました。民主党は、有権者が自分たちの考えに賛同してくれることを期待していましたが、本来は政党が有権者に歩み寄るべきです。

イギリス労働党の教訓

イギリスの労働党も長年、同様の問題を抱えていました。自分たちが優れていると思い込み、有権者に指図し、選挙で敗北すると侮辱されたように感じていました。党内では、イデオロギー的に左派路線を追求するグループと、選挙で勝利するために穏健路線を志向するグループの間で対立が続いています。

ハリス氏はどちらの路線にもうまく適合していませんでした。過去には、受刑者の性別変更の権利を支持するなど、「woke」と呼ばれる急進的な立場を示したこともありましたが、選挙運動ではそのような主張は控えられました。

altaltイギリスの労働党も、有権者を見下す姿勢が批判されてきました。

まとめ:有権者への共感が重要

今回の大統領選は、有権者への共感がいかに重要かを示す結果となりました。民主党は、有権者のニーズを理解し、共感を得る努力を怠ったと言えるでしょう。一方、トランプ氏は、大衆の感情に訴えかけることで支持を集めました。今後の政治においては、有権者との対話と共感が不可欠となるでしょう。