兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦知事ですが、その選挙活動におけるSNS運用をめぐり、公職選挙法違反の疑いが浮上しています。今回の知事選は「SNS選挙戦」とも呼ばれ、SNS戦略が勝敗を左右したとも言われています。しかし、その陰で思わぬ落とし穴があったようです。
SNS広報の功罪:戦略的PRが生んだ波紋
兵庫県内のPR会社「株式会社merchu」の折田楓代表が、自身のnoteで「兵庫県知事選挙における戦略的広報:『#さいとう元知事がんばれ』を『#さいとう元彦知事がんばれ』に」というタイトルの記事を公開し、波紋を広げています。この記事の中で、折田氏は「広報全般を任せていただいた」と記述しており、これが有償だった場合、公職選挙法に抵触する可能性が指摘されています。たとえ無償であったとしても、贈収賄にあたる可能性も否定できません。
兵庫県知事の斎藤元彦氏
折田氏は自身の会社や実績をPRする意図だったのかもしれませんが、クライアントの情報を開示する行為は、広報のプロとしては軽率と言えるでしょう。斎藤知事側は契約書を交わしていなかったと主張しており、双方のコミュニケーション不足やリスク管理の甘さが露呈した形となりました。広報戦略専門家の山田一郎氏(仮名)は、「SNS時代の選挙活動において、広報戦略は重要ですが、法令遵守を徹底することが大前提です。今回のケースは、広報担当者の認識不足が招いた典型的な事例と言えるでしょう」と指摘しています。
公選法違反捜査の裏側:地道な捜査活動の実態
贈収賄事件などを担当してきた元刑事は、「嫌疑のかかった人物が自ら情報を公開してくれるのは、捜査する側としては非常に助かる」と語ります。地方議員の疑惑の場合、忖度や縁故などが絡み、真相解明が困難なケースが多い中、今回の件は異例と言えるでしょう。
議員の汚職事件を立証するには、長期間にわたる地道な捜査活動が必要となります。元刑事によると、「疑惑の議員を半年以上追跡調査することも珍しくない」とのこと。尾行や張り込みを通して、議員の交友関係や金銭の授受などを綿密に調べ上げます。
選挙活動と公選法:厳格化する規制と違反事例
公職選挙法の改正により、以前は現金の授受がなければ立件が難しかったケースでも、飲食接待の繰り返しなどが違反となる場合があります。過去には、選挙区内の有権者に贈り物をして辞職に追い込まれた大臣もいます。そのため、捜査当局は、飲食の提供や金品の授受といった行為にも厳しく目を光らせています。
前江東区長の謝罪の様子
今回の兵庫県知事選におけるSNS戦略と公選法違反疑惑は、SNS時代の選挙活動におけるリスク管理の重要性を改めて示す事例となりました。今後の選挙活動においては、広報戦略の立案だけでなく、法令遵守の徹底がより一層求められるでしょう。