日中関係悪化、世論調査で中国人の対日意識が過去最悪に

日中関係の現状に暗雲が立ち込めています。言論NPOと中国国際伝播集団が共同で行った最新の世論調査によると、日本に「良くない」印象を持つ中国人が9割近くに達し、過去11年間で最も高い水準となりました。この結果は、両国間の緊張の高まりを改めて浮き彫りにしています。

中国人の対日感情が悪化、その背景とは?

今回の調査では、日本に「良くない」「どちらかといえば良くない」印象を持つ中国人は87.7%と、前年から約25ポイントも増加しました。その主な理由として、「尖閣諸島(中国名:釣魚島)の国有化問題」や「一つの中国原則への消極的姿勢」などが挙げられています。尖閣諸島をめぐる領土問題は、長年にわたり日中間の火種となっており、中国側の強い反発を招いていることが改めて示されました。

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国際政治アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「中国の国民感情は、政府のプロパガンダやメディア報道に大きく影響を受けている」と指摘します。中国政府は、尖閣諸島問題や歴史認識問題などを利用して、反日感情をあおり、国民の愛国心を高めようとしている側面があると考えられます。

日本人の対中感情も依然として厳しい状況

一方、日本人の対中感情も厳しい状況が続いています。中国に「良くない」「どちらかといえば良くない」印象を持つ日本人は89%と、依然として高い水準にあります。主な理由は、「尖閣諸島周辺海域への領海侵犯」などが挙げられています。中国海警船による尖閣諸島周辺海域への侵入は常態化しており、日本国民の不安感を増大させています。

日中関係の重要性に対する認識のずれ

さらに、日中関係の重要性に対する認識にも大きなずれが生じています。「日中関係は重要ではない」「どちらかといえば重要ではない」と答えた中国人は59.6%と、前年の約3倍に増加しました。これは、中国国内で対日強硬論が高まっていることを示唆しています。

対話と交流の促進が不可欠

言論NPOの工藤泰志代表は、「日中間の対話不足や交流不足が影響している。対話のチャンネルをつくることが重要だ」と述べています。日中両国は、経済や文化など様々な分野で深く結びついており、両国関係の悪化は、地域全体の安定にも悪影響を及ぼします。そのため、政府間だけでなく、民間レベルでの交流を促進し、相互理解を深める努力が不可欠です。

日中両政府は、冷静な対話を通じて、懸案事項を解決していく必要があります。また、メディアは、客観的な報道を心がけ、両国民の相互理解を促進する役割を果たしていくことが求められます。