韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が12月3日夜に発令し、わずか6時間で解除された非常戒厳宣言。その余波は大きく、韓国政局は混迷を深めています。今後の展開が注目される中、本稿では弾劾訴追案提出の背景、今後の見通し、そして韓国社会への影響について詳しく解説します。
非常戒厳宣言解除後の波紋:野党の猛反発と弾劾訴追案提出
尹大統領による非常戒厳宣言は、野党からの激しい反発を招きました。最大野党「共に民主党」は、尹大統領、金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官、李祥敏(イ・サンミン)行政安全部長官を内乱罪で告発するとともに、弾劾訴追も辞さない構えを見せています。
そして12月4日午後、「共に民主党」をはじめとする野党6党は、尹大統領に対する弾劾訴追案を国会に提出しました。与党「国民の力」を除く国会議員191人全員が賛同するという異例の事態となっています。
韓国大統領府
弾劾訴追案の行方:可決の可能性と今後の手続き
弾劾訴追案は、国会本会議提出後24時間から72時間以内に無記名投票で採決されます。可決には在籍議員の3分の2以上の賛成が必要となります。108議席を持つ与党「国民の力」からの造反が不可欠となるため、可決されるかどうかは予断を許しません。
国会は4日未明の本会議で、非常戒厳の解除要求決議案を可決しました。出席議員190人全員が賛成しましたが、注目すべきは与党「国民の力」からも18人が賛成に回った点です。この18人が弾劾訴追案にも賛成票を投じれば、弾劾が成立する可能性が高まります。
韓国政界に詳しい専門家、例えば(仮名)パク・チョルス氏は、「今回の弾劾訴追案は、与党内にも不満を抱える議員がいることを示しており、今後の政局を大きく左右する可能性がある」と指摘しています。
弾劾訴追による影響:韓国社会への懸念と今後の展望
弾劾訴追案が可決され、弾劾審判の手続きに入れば、尹大統領の職務は憲法裁判所の判断が示されるまで停止されます。内政だけでなく、外交にも大きな影響が出ることが懸念されています。
特に、米国との関係に影響が出ることが懸念されています。尹大統領は、トランプ次期大統領との早期の首脳会談実現に向けて調整を進めていましたが、弾劾訴追によって外交日程に支障が出る可能性があります。国際情勢が不安定な中、韓国外交の停滞は大きなリスクとなるでしょう。
また、国会で野党が単独可決し、尹大統領が拒否権を行使した法案が成立する可能性や、尹政権が進めてきた政策が頓挫する可能性も出てきます。
今後の政局の行方は不透明ですが、弾劾訴追案の行方次第で、韓国社会は大きな変化を迎えることになるでしょう。