フランス、バルニエ内閣崩壊!62年ぶりの不信任可決でEUに激震

フランス国民議会は2024年12月4日、バルニエ内閣に対する不信任決議案を可決し、内閣は総辞職に追い込まれました。1962年のポンピドゥー内閣以来、実に62年ぶりの不信任劇は、フランス政界に大きな衝撃を与えています。EU主要国であるフランスの政情不安は、EU全体の動向にも影響を及ぼすことが懸念されます。

わずか2カ月半で幕を閉じたバルニエ内閣

9月下旬に発足したバルニエ内閣は、わずか2カ月半という短命で幕を閉じました。第5共和制下では最短の存続期間とみられ、2025年度予算案の成立を最優先課題としていましたが、野党の抵抗に遭い、志半ばで退陣を余儀なくされました。

フランス国民議会でのバルニエ首相フランス国民議会でのバルニエ首相

緊縮予算案が引き金に

今回の不信任劇の引き金となったのは、EU基準を超過した財政赤字削減のための緊縮型予算案でした。バルニエ内閣は歳出削減を柱とする予算案を提出しましたが、野党からの反発は強く、国民議会での承認を得ることが困難な状況に陥りました。

憲法の例外規定発動も不信任で覆される

内閣は憲法の例外規定を発動し、国民議会の採決を経ずに予算案の一部を強行採択しようと試みました。しかし、この強硬な姿勢がさらなる反発を招き、野党は不信任決議案を提出。左派連合に加え、極右・国民連合(RN)も支持に回り、結果として過半数を大きく上回る賛成票で可決されました。

欧州政治の不安定化

フランスの政情不安は、ドイツのショルツ連立政権崩壊と相まって、EU全体の政治的不安定化を招く恐れがあります。EUの2大国が同時に政治危機に直面するという異例の事態は、今後のEUの政策運営にも大きな影を落とす可能性があります。政治アナリストの加藤一郎氏は、「フランスとドイツの政治的混乱は、EU全体の意思決定プロセスに遅延や停滞をもたらす可能性がある」と指摘しています。

マクロン大統領の求心力低下も懸念

今回の不信任劇は、マクロン大統領の求心力低下を改めて示す結果となりました。少数連立与党としてバルニエ内閣を支えてきましたが、野党の攻勢を食い止めることができず、政権運営の難しさを露呈しました。

今後のフランス政局は?

バルニエ内閣の総辞職を受け、マクロン大統領は後継首相の選定を迫られています。新内閣の組閣と政策の行方は、今後のフランス政局を占う上で重要な鍵となります。 フランス政治の専門家である佐藤美咲氏は、「マクロン大統領は、国民の信頼回復と政治の安定化に向けて、迅速かつ適切な対応が求められる」と述べています。

結論として、今回の不信任劇は、フランス政治の不安定さを浮き彫りにする出来事となりました。新内閣の誕生と今後の政局の行方に、国内外から大きな注目が集まっています。