エチオピア北部ティグレ州で2020~22年まで続いた「ティグレ紛争」では、虐殺や女性への性暴力といった戦争犯罪が横行していたことが報告されている。
英紙「ガーディアン」は停戦から2年半後の現地を訪れ、レイプ被害者や医療関係者を取材。そこで目の当たりにしたのは、集団レイプされた挙げ句、ネジなどの異物を膣から挿入された女性たちの終わらない苦しみだった。
「ティグレの女たちを不妊にしてやる」
ツェネアトは2年もの間、レイプされた苦しみを自分のなかに抱えていた。苦痛が消えることは決してなかった。それは彼女を内側から襲ってきた。
暴行の痕跡は、記憶としてというよりも物理的なモノとして、彼女の子宮の中に残っていたのだ。
8本の錆びたネジ、鉄製の爪切り、ビニールに包まれたボールペン書きのメモ……。
メモにはこう書かれていた。
「エリトリアの息子たちである我々は勇敢だ。我々はこの使命を心に刻み、これからも守り続ける。ティグレ人の女たちを不妊にしてやるのだ」
これらの異物は2年以上の時を経てレントゲン検査で発見された。6人の兵士に集団でレイプされ、意識を失って横たわっていたツェネアトの体内に無理やり押し込まれたものだ。
彼女だけではない。数万人にのぼるティグレ人の女性がこのような卑劣きわまりない性暴力にさらされた。暴行の目的は生殖能力を奪うことにある。
本紙ガーディアンが入手した医療記録やレントゲン画像から、女性の生殖器にくぎやネジ、ビニール片、砂利、メモなどの異物が無理やり挿入された事例がいくつも確認された。
国際法では、特定の民族を滅ぼす意図をもって生殖能力を奪ったり、出生を妨げたりする行為はジェノサイド(集団虐殺)に該当する。
Tess McClure






