在日サウジアラビア大使館の元職員が、東京・六本木のラウンジで女性に痴漢行為をした疑いで警視庁に書類送検される見通しとなりました。外交特権を盾に捜査への協力を拒否する姿勢に批判の声が上がっています。
六本木ラウンジでの出来事
2024年7月15日未明、六本木のラウンジで衝撃的な事件が発生しました。当時大使館に勤務していた30代のサウジアラビア人男性職員が、20代の女性客の胸を服の上から触ったとして、警視庁麻布署から任意の事情聴取を受けていました。
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被害女性と男性職員に面識はなく、突然の出来事に女性は驚き、110番通報しました。駆けつけた警察官に対し、職員は「腕に触れただけ」と容疑を否認し、アルコール検査も拒否したとのことです。
外交特権を盾にした対応
男性職員は外交官の身分を名乗り、麻布署への任意同行には応じたものの、署内で再び外交特権を主張し、そのまま立ち去りました。警視庁はその後、サウジアラビア大使館に出頭要請を2回行いましたが、職員は応じず、事件は迷宮入りかと思われました。
しかし、警視庁は外交特権を盾にした対応を問題視し、警察庁や外務省と協議を重ねた結果、都迷惑防止条例違反容疑で書類送検する方針を固めました。
大使館側の反応と波紋
サウジアラビア大使館は朝日新聞の取材に対し、「彼は現在大使館で働いていない。帰国した」と回答。事件への具体的な言及は避け、職員の所在についても明らかにしていません。
この事件は、外交特権の在り方について改めて議論を呼ぶとともに、被害女性へのケアや再発防止策の必要性を浮き彫りにしました。 飲食店経営コンサルタントの佐藤一郎氏(仮名)は、「このような事件は、お店の評判だけでなく、地域全体のイメージダウンにも繋がる。従業員への研修や防犯カメラの設置など、未然に防ぐための対策が重要だ」と指摘しています。
外交特権とは何か?
外交特権とは、外交官が派遣先の国で安全かつ自由に職務を遂行できるように認められた特別な権利です。 ウィーン条約に基づき、外交官は派遣国での逮捕や拘留、訴追などを免除されることになっています。しかし、この特権が犯罪行為の免罪符となることは決して許されるべきではありません。
今後の捜査と課題
警視庁は引き続き捜査を進め、事件の真相解明に努めるとしています。外交特権を巡る問題は複雑であり、今後の捜査の行方と、再発防止に向けた取り組みが注目されます。