兵庫県知事選をめぐり、斎藤元彦知事に対する公職選挙法違反(買収疑惑)の告発が大きな波紋を広げています。SNS戦略を監修したmerchu社への報酬71万5千円が選挙運動の報酬とみなされるのか、専門家の見解を交えながら詳しく解説します。
SNS監修報酬71万5千円:買収にあたるのか?
2024年12月2日、元東京地検特捜部の郷原信郎弁護士と神戸学院大学の上脇博之教授が斎藤知事とmerchu社社長・折田楓氏を公職選挙法違反で刑事告発しました。争点は、折田氏が知事選で斎藤氏のSNS展開を監修したことに対する71万5千円の報酬が、選挙運動の報酬とみなされるかどうかです。
斎藤知事側は、この金額はポスター等の制作費であり、公職選挙法違反にはあたらないと主張しています。しかし、告発状では、この支払いが選挙運動の報酬であり、公職選挙法違反に該当すると主張しています。
兵庫県知事、斎藤元彦氏
県警と地検、両機関への告発の背景とは?
今回の告発で注目すべきは、兵庫県警と神戸地検の両方に告発状が提出されたことです。選挙違反は通常、警察が捜査を担当します。国政選挙などでは「選挙違反取締本部」が設置され、多くの警察官が動員されます。
しかし、知事選のような地方選挙では、選挙違反の取締りが積極的に行われることは稀です。知事は警察の予算を執行する立場にあり、県警を指揮・指導する権限も持っています。そのため、警察による捜査が難しい側面があるのです。「行政法の権威」として知られるA教授は、「知事のような地方自治体の首長は、警察組織に対して強い影響力を持つため、県警単独での捜査は難しい場合もある」と指摘しています。
公選法違反の立証は容易ではない?
公職選挙法違反の立証は容易ではありません。告発状に記載されている金額が本当に選挙運動の報酬だったのか、それとも正当な業務委託費用だったのかを明確に区別する必要があります。 B弁護士は、「SNS戦略の監修という業務の性質上、選挙運動との線引きが難しく、立証のハードルは高い」と分析しています。
まとめ:今後の展開に注目
斎藤知事の買収疑惑は、今後の捜査の行方によって兵庫県政に大きな影響を与える可能性があります。県警と地検による捜査の進展、そして裁判が行われた場合の判決に注目が集まります。