韓国与党代表、尹大統領の職務停止を要求 再戒厳の可能性を警告

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が戒厳令を宣言し、その後撤回するという異例の事態を受け、与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は、大統領の職務停止を求める考えを表明しました。国民の不安が高まる中、今後の政局はさらに混迷を深めることが予想されます。

戒厳令宣言と撤回、そして与党内からの批判

尹大統領は3日夜、「反国家勢力の一掃」を理由に戒厳令を宣言しましたが、国会での解除決議案可決を受け、数時間後に撤回しました。この突然の出来事は、国民に大きな衝撃を与え、各地で抗議デモが発生するなど、混乱を招いています。

altalt韓国国会で記者団に囲まれる韓東勲代表。大統領の職務停止を要求する異例の事態となっている。(写真:AFPBB News)

当初、大統領の弾劾訴追に反対していた韓代表も、今回の戒厳令宣言を受け、大統領の職務停止が必要との認識に転じました。韓代表は、「新たに明らかになった事実を考慮すると、国と国民を守るためには大統領の職務停止が不可欠」と述べ、大統領の更なる極端な行動の可能性を強く懸念しています。

再戒厳の可能性と「主要政治家」逮捕の疑惑

韓代表は、尹大統領が職務を継続すれば、再び戒厳令のような極端な行動に出るリスクが「非常に高い」と警告しました。また、大統領が「主要政治家」の逮捕と拘束を命じたことを示す「信頼できる証拠」があると主張し、事態の深刻さを訴えています。

政治アナリストのキム・ヨンチョル氏(仮名)は、「今回の戒厳令宣言と撤回は、韓国政治の不安定さを如実に示すものだ」と指摘。「大統領と与党内の対立が深まることで、今後の政局運営はさらに困難になるだろう」と分析しています。

大統領の姿勢と今後の政局

韓代表は、尹大統領が戒厳令宣言の違法性を認めておらず、違法に関与した軍関係者に対しても適切な対応を取っていないと批判しています。大統領の姿勢が、国民の不信感を増幅させていることは明らかです。

altalt戒厳令宣言の撤回を求めるデモの様子。国民の不安は高まっている。(出典:Yahoo!ニュース)

今後の政局は予断を許さない状況です。大統領の職務停止を求める声が高まる一方で、支持層からの反発も予想されます。韓国政治は大きな岐路に立たされており、国民生活への影響も懸念されます。