一人暮らしを満喫する83歳の漫画家、みつはしちかこさん。ロングセラー漫画『小さな恋のものがたり』の作者として知られる彼女は、日々の暮らしの中で「ありがとう」の大切さを実感しているといいます。かつては照れ屋で「ありがとう」を伝えるのが苦手だったみつはしさん。一体何が彼女を変えたのでしょうか?今回は、みつはしさんのエッセイ集『こんにちは!ひとり暮らし』(興陽館)から、心温まるエピソードをご紹介します。
義母から学んだ「ありがとう」の力
みつはしさんは、亡き義母との思い出を振り返ります。お茶を入れてほしいと頼まれた時、内心「めんどうだな」と思いつつもお茶を入れると、義母からはすぐに「ありがとう」という言葉が返ってきました。その素直な感謝の言葉に、みつはしさんは「めんどうだな」と思った自分を反省したといいます。
言葉と共によみがえる温かい空気
長年、良好な嫁姑関係を築いてこられた秘訣は、義母の「ありがとう」にあったとみつはしさんは語ります。彼女は元々照れ屋で、感謝の気持ちを言葉にするのが苦手でした。しかし、義母は日常の些細な出来事にも「ありがとう」を伝える達人でした。孫に針の糸を通してもらった時、読みづらいハガキを読んでもらった時、すき焼き鍋からネギを取ってもらった時など、あらゆる場面で自然な「ありがとう」が飛び出します。そして、その言葉と共に温かい空気が流れ、場を和ませるのです。
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外出時の「ありがとう」の習慣
特にみつはしさんが感銘を受けていたのは、義母と外出をした時のこと。病院や観劇から帰宅すると、義母は必ず「今日はどうもありがとう」と丁寧に感謝を伝えます。みつはしさんは照れ隠しで「アハッ」と笑ったり、「別に、そんなにたいしたことじゃない」と返したりしていましたが、心の中では温かい気持ちで満たされていたといいます。
幸せの連鎖反応を生む「ありがとう」
「ありがとう」の一言が持つ不思議な力に、みつはしさんは感嘆します。感謝の気持ちを伝えることで、相手だけでなく、自分自身の心も温かくなる。そんな幸せの連鎖反応を生み出す「ありがとう」の魔法を、みつはしさんは義母から学んだのです。
著名な料理研究家、佐藤先生(仮名)も「感謝の気持ちは、言葉にして伝えることが大切です。相手を尊重し、感謝の気持ちを伝えることで、良好な人間関係を築くことができます」と述べています。
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「ありがとう」を伝えることの喜び
今では、みつはしさん自身も「ありがとう」を積極的に伝えるようになりました。照れくさかった気持ちが薄れ、感謝の言葉を伝える喜びを感じているといいます。日々の暮らしの中で「ありがとう」を意識することで、人間関係がより豊かになり、幸せな気持ちで満たされる。そんな素敵なメッセージが、みつはしさんの言葉から伝わってきます。