将棋界の絶対王者、藤井聡太名人が、第83期名人戦七番勝負の初戦で、永瀬拓矢九段を相手に鮮やかな勝利を飾りました。名人位防衛に向けて好スタートを切った藤井名人の、驚異的な終盤力に迫ります。
角換わりから難局へ、AIも互角と判定
4月9日に開幕した名人戦七番勝負。振り駒の結果、永瀬九段の先手で対局が開始されました。戦型は両者得意の角換わりとなりましたが、今年3月の棋王戦で千日手が成立した将棋と似た展開に。藤井名人の綿密な研究が垣間見える序盤となりました。
藤井聡太名人が対局中の様子
初日から難解な局面が続き、ABEMAの「SHOGI AI」も形勢は互角と判定。両者の読みの深さがぶつかり合う、緊迫した攻防が繰り広げられました。
藤井名人の銀打ち込みから激流へ
2日目に入っても均衡状態が続きましたが、午後に入り藤井名人が勝負に出ます。永瀬九段が受けに回った局面を見逃さず、銀を打ち込んで先手陣に迫りました。ここから局面は一気に激流となり、藤井名人がペースを握るかと思われましたが、その表情は苦しげなままでした。
永瀬九段の猛攻、しかし藤井名人は…
永瀬九段も迫力のある攻めを続け、藤井名人を追い詰めます。しかし、終盤戦を得意とする藤井名人は、冷静に正確な対応を続けました。時折顔をゆがませる場面もありましたが、決して崩れることはありませんでした。
驚愕の終盤力!まるで詰将棋のような鮮やかな収束
そして迎えた最終盤。まるで「一人・詰将棋回答選手権」のような展開で、藤井名人に手番が回ってきました。攻防手か詰ますしかないというギリギリの状況の中、藤井名人は長手数の詰みを読み切り、圧巻の勝利を収めました。
解説を務めた広瀬章人九段も、「すごいものを見た」と感嘆の声を漏らしました。自身も詰将棋の名手として知られる広瀬九段ですが、「詰みそう、というのは分かるのですが…まるで詰将棋の変化のような綺麗な詰み筋でしたね」と、藤井名人の終盤力に圧倒された様子でした。
対局の様子
広瀬九段はさらに、「見事な収束で終盤の正確さがあまりにも際立った。恐ろしいものを見た」とコメント。藤井名人が持つ異次元の終盤力を改めて称賛しました。
名人戦の行方は?
SNS上でも、「このスカスカが詰むのか」「広瀬さんにもダメージを与えた」「全部読み切ってたってこと?」など、ファンから驚きの声が上がりました。
名人戦は始まったばかり。最強の藤井名人は、今後どのような名局を見せてくれるのでしょうか。4月29日、30日に東京都大田区の「羽田空港第1ターミナル」で行われる第2局にも注目が集まります。