戒厳令発令の真意は? 尹大統領の「警告」発言に批判殺到

韓国で物議を醸している尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領による戒厳令発令。大統領とその周辺は「野党への警告」だったと主張していますが、その真意をめぐり疑問の声が噴出しています。本記事では、戒厳令発令直後の状況や専門家の意見を交え、この主張の妥当性を検証します。

戒厳令は本当に「警告」だったのか? 現実との乖離

尹大統領は、戒厳令発令は野党の行き過ぎた行動への警告だったと説明しています。しかし、その直後の状況を見る限り、この説明には多くの矛盾点が見られます。

まず、国会よりも先に中央選挙管理委員会に兵力が投入されたこと。しかも、国会よりも多い兵力が投入されており、その目的は「不正選挙疑惑の捜査」だったとキム・ヨンヒョン前国防長官が語っています。これは「野党への警告」という説明とは明らかに矛盾しています。

中央選挙管理委員会に兵士が派遣された様子中央選挙管理委員会に兵士が派遣された様子

また、国会への兵力投入についても、キム前長官は「戒厳解除決議阻止」が目的だったと証言しています。国会に投入された兵士への命令も「国会議員を全員引きずり出せ」というもので、単なる警告の域を超えていることが分かります。

憲法違反の可能性も? 専門家の見解

尹大統領の「警告」という主張は、憲法にも抵触する可能性があります。憲法第77条は、戒厳令は「戦時・事変またはそれに準ずる国家非常事態」に発令できると規定しています。野党への警告を理由に戒厳令を発令することは、この条項に違反する可能性があります。

軍事専門家からも、尹大統領の主張は「荒唐無稽」と批判されています。戒厳令は国家の非常事態における最終手段であり、国際社会では民主主義の成熟度を測る指標の一つとされています。野党への警告のために戒厳令を発令するという発想自体が、民主主義の原則に反するという指摘です。

独裁的行為との批判も

パク・アンス陸軍参謀総長が国会国防委員会に出席パク・アンス陸軍参謀総長が国会国防委員会に出席

民主党のパク・チウォン議員は、尹大統領の主張を「独裁」と批判しています。戒厳令を野党への脅迫手段として利用することは、民主主義の根幹を揺るがす行為であると指摘しています。

まとめ

尹大統領による戒厳令発令は、その真意をめぐり多くの疑問が残されています。「野党への警告」という説明は、発令直後の状況や専門家の意見と照らし合わせると、信憑性に欠けると言わざるを得ません。今後の動向に注目が集まります。