韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案が否決されたことを受け、ソウルでは大規模なデモが行われました。本記事では、弾劾訴追案否決の背景、国会前のデモの様子、そして韓国国民の不安の声をお届けします。
弾劾訴追案否決の背景
尹大統領は、12月3日に「非常戒厳」を宣布。この強硬な措置は、野党や国民から強い反発を招き、弾劾訴追案提出の引き金となりました。非常戒厳宣言は、国家の危機的状況において大統領に広範な権限を与えるものですが、今回の宣言は国民の権利を制限するものであるとして、民主主義の後退を懸念する声が上がっていました。 韓国政治の専門家、パク・ミンホ氏(仮名)は、「今回の非常戒厳宣言は、国民の意思を無視した独断的な判断であり、韓国の民主主義にとって大きな危機と言えるでしょう」と指摘しています。
ソウル市の国会前で弾劾賛成を呼びかけて集まった若者たち
15万人が国会前に集結、弾劾可決を訴える
弾劾訴追案の採決が行われた12月7日、ソウル市内の国会前には、最大15万人(警察推計)もの市民が集まり、弾劾可決を求める大規模デモが行われました。参加者は「尹錫悦を弾劾しろ」「民主主義を守ろう」と書かれたプラカードを掲げ、声を張り上げていました。
デモに参加した27歳の女性、チョ・サランさんは、「元々は保守寄りでしたが、国民を無視する非常戒厳の宣布には強い衝撃を受けました。まるで平穏な日常が崩れ去ったかのような感覚です。本当に悲しく、いてもたってもいられずデモに参加しました。この切実な思いを日本の人々にも知ってほしい」と語りました。彼女の言葉からは、韓国の若者たちが抱える民主主義への不安と危機感がひしひしと伝わってきます。
支持派も集会、尹大統領擁護の声
一方、ソウル市中心部の光化門前では、尹大統領を支持する団体も集会を開き、「尹錫悦大統領、万歳!」と声を上げ、弾劾訴追案の否決を訴えました。 この対立する二つの集会は、韓国社会の深い分断を象徴していると言えるでしょう。
今後の韓国政治は?
弾劾訴追案は否決されましたが、国民の不満は依然として根強く残っています。今後の韓国政治は、更なる混乱に陥る可能性も否定できません。 韓国政治の専門家、キム・スンヨン氏(仮名)は、「弾劾訴追案否決は、尹大統領にとって一時的な勝利に過ぎない。国民の不信感は払拭されておらず、今後の政権運営は非常に困難になるだろう」と分析しています。
まとめ
弾劾訴追案否決という結果を受け、韓国社会は大きな岐路に立たされています。国民の不安の声に耳を傾け、民主主義を守り抜くために、韓国政府はどのような舵取りを行うのでしょうか。今後の動向に注目が集まります。