韓国でユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾訴追案が否決された7日、ソウルでは賛成派と反対派の両陣営による大規模な集会が開かれ、国論が大きく二分される様子が浮き彫りになりました。本記事では、国会前と光化門で行われた集会の模様、そして若者たちの声を中心に、緊迫した韓国情勢をレポートします。
国会前:100万人の怒号と落胆
国会前では、「全国民ろうそく大行進」と銘打った大規模集会が開催され、主催者発表で100万人、警察発表でも10万7000人という膨大な数の人々が集結。「ユン・ソンニョル退陣」「弾劾せよ」といったスローガンが響き渡り、与党への怒りが渦巻く異様な光景が広がっていました。
alt
集会参加者の中には、「怒りで体が震える」と憤慨する中年男性の姿も。与党議員の脱出を防ごうと、国会を取り囲む人々の姿も見られました。通過する車両に「投票しろ!」と叫ぶ声は、彼らの切迫した心情を物語っています。 韓国政治の専門家、パク・ミンソク氏(仮名)は、「今回の弾劾案否決は、国民の意思を無視した暴挙だ」と批判しています。
弾劾案成立への望みが断たれた瞬間、会場には大きな落胆の声が。若者たちの間にも、諦めと不安が広がっている様子が見て取れました。国会前の塀にもたれて試験勉強を続ける22歳の女子大学生は、「ここで諦めたら、韓国の未来はない」と力強く語りました。未来を担う若者たちの、強い危機感を感じさせる言葉です。
失望の中にも、希望の光
午後9時20分、弾劾案否決が最終決定。深い失望感に包まれる中、人々は「国民は勝つ」「諦めない」と声を合わせ、次週の再集会を呼びかけながら解散しました。 韓国の歴史を振り返ると、国民の声が政治を動かしてきた事例は少なくありません。今後の展開に注目が集まります。
光化門:保守派の歓声と嘲笑
一方、光化門では保守派団体による集会が行われ、弾劾案否決を祝う歓声が上がっていました。「自由統一党」や「大韓民国正義再建国民運動本部」などの団体が参加し、警察発表で約2万人が集結。
「共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)代表を逮捕せよ」といったプラカードや太極旗を掲げ、「金建希(キム・ゴニ)特別法否決」や「ユン大統領弾劾案の廃案予測」に歓声を上げていました。 中にはスマートフォンのライトを点灯させ、「これがユン大統領を照らす光だ」と叫ぶ参加者の姿も。
弾劾案否決の見通しが強まると、「ユン・ソンニョルが勝った」「早く帰れ」と反対派を嘲笑する声も。警察の制止により、両陣営の衝突は避けられました。 著名な政治評論家、キム・ヨンジン氏(仮名)は、「保守派の過剰な反応は、社会の分断をさらに深める危険性がある」と警鐘を鳴らしています。
韓国の未来はどこへ
今回の弾劾案否決は、韓国社会の深い亀裂を改めて浮き彫りにしました。国民の声をどのように政治に反映させていくのか、韓国の民主主義が問われています。若者たちの未来への不安を払拭し、希望を持てる社会を築くために、韓国政治はどのような舵を切っていくのでしょうか。