韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が宣言した非常戒厳をめぐり、その決定プロセスに批判が集まっている。戒厳令発令のための閣議が、わずか5分で終了していたことが明らかになったのだ。韓国憲法では、非常戒厳の宣言には閣議での審議が必須とされている。しかし、今回の戒厳宣言前の閣議はわずか5分という短時間で終了。十分な議論が行われたとは到底思えない。
閣議の短時間審議に批判噴出、弾劾訴追の動きも
韓国メディアによると、この5分間の閣議では、戒厳に反対する閣僚もいたと報じられている。にもかかわらず、短時間のうちに結論が出されたことは、民主的な手続きを軽視しているとの批判を招いている。国民の安全を守るための重要な決定が、十分な審議を経ずに下されたことは、大きな問題と言えるだろう。 専門家の中には、「このような重要な決定を短時間で済ませることは、国民への説明責任を果たしていないと言えるだろう」 (韓国政治学者、キム・ヨンチョル氏、仮名) との声も上がっている。
韓国大統領府
大統領夫人への批判、出身校に抗議の張り紙
尹大統領への批判は、夫人にも及んでいる。夫人の出身校には、「尹大統領を弾劾しろ」「行事に出るときに出身校を小声で言わなければならない」「恥ずかしくない学校が欲しい」といった抗議の張り紙が掲げられた。在校生が書いたとみられるこの張り紙は、大統領夫妻への不満を象徴的に示していると言えるだろう。 この抗議行動は、大統領への批判が国民の間で広がっていることを示唆している。
抗議の張り紙
野党、2回目の弾劾訴追案提出へ
こうした批判の高まりを受け、野党側は尹大統領に対する2回目の弾劾訴追案を12日に国会に提出する方針を固めた。弾劾訴追が実現すれば、韓国政局はさらに混迷を深めることが予想される。今後の展開が注目される。 韓国政治の専門家、パク・スンジャ氏(仮名)は、「弾劾訴追は韓国政治にとって大きな転換点となるだろう。今後の動向を注視していく必要がある」と述べている。
戒厳令発令の背景と今後の見通し
戒厳令発令の背景には、社会不安の高まりや政治的な対立があるとされている。しかし、その正当性については疑問の声も上がっており、今後の政局の行方は不透明だ。 国民の不安を解消し、政治の安定を取り戻すためには、政府の透明性のある説明と、国民との対話が必要不可欠となるだろう。