【ワシントン時事】トランプ米大統領は1日、日本に対する関税を「30%か35%」に引き上げる考えを示唆した。
相互関税の上乗せ分停止の期限が9日に迫る中、コメや自動車を標的に対日貿易の非難を繰り返している。関税交渉が難航し、日本との「合意は困難」とも述べ、圧力を強めている。
「30%か35%、あるいはわれわれが決める数字を払ってもらう」。トランプ氏は1日、記者団を前に、対日関税を引き上げる可能性に言及した。日本への相互関税は上乗せ分を合わせ24%。それを大きく上回る水準で、主要貿易相手国では異例の高税率だ。
トランプ氏の日米貿易交渉に関する発言は最近、目立って増えている。日本からの自動車輸入が「不公平」と表明。日本に原油をはじめとした米国製品の輸入拡大を迫ったほか、日本が「聖域」として関税枠を守ってきたコメの輸入にも触れた。コメ不足で「切実に必要としているのに日本は受け入れようとしない」と不満を口にするなど、難航する交渉にいら立ちを示し始めている。
日本政府が期待を持って交渉に臨んできた相互関税の上乗せ分の停止期間延長も、「考えていない」と一蹴した。多くの交渉相手国・地域に関税率を通告する書簡を送り付ける強硬姿勢を示し、「みんなようやくやり方が分かってきた」と満足げに語った。
米政権はカナダに対し、一方的に貿易交渉の打ち切りを宣言し、対立の火種となっていたカナダのデジタル課税の撤回を勝ち取った。高圧的な態度を崩さないトランプ氏に日本が大幅な譲歩を迫られる可能性もある。
トランプ氏は「われわれが必要としているようなことをあなた方はできないと分かっている」と主張。日本が交渉で米側に提示した条件に不満を示した。自動車関税を含めた見直しを求めてきた日本は対米交渉で厳しい局面に立たされているとみられ、戦略の練り直しを求められそうだ。