韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領をめぐる政局は、非常戒厳宣言とその後の撤回、そして弾劾訴追案の提出と否決という劇的な展開を見せています。国民の不安が高まる中、大統領のリーダーシップ不在が懸念され、韓国社会は混迷を深めています。
非常戒厳宣言と撤回:国民の反発と議会の抵抗
12月3日、尹大統領は非常戒厳を宣言し、韓国社会に衝撃が走りました。しかし、この措置は国民の強い反発を招き、野党のみならず与党からも批判の声が上がりました。翌4日未明には国会の緊急会議が招集され、与野党議員の圧倒的多数で非常戒厳解除を求める決議案が可決。尹大統領は同日未明に非常戒厳の解除を発表しました。
韓国の国会議事堂
弾劾訴追案の否決と再提出:大統領罷免への動き
非常戒厳宣言の撤回後も、尹大統領への批判は収まりませんでした。野党は尹大統領の罷免を求める弾劾訴追案を提出。7日の国会採決では、与党「国民の力」の大多数が採決をボイコットしたため定足数に達せず、否決されました。しかし、野党は12日に弾劾訴追案を再提出、14日に採決を行う方針を表明しています。韓国政治の専門家、例えば慶熙大学校のイ・ジョンソク教授(仮名)は、「弾劾訴追案の再提出は、大統領への圧力をさらに強めることになるでしょう」と分析しています。
無政府状態への懸念:大統領の指導力不在
米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表が「大統領はもはや国を運営していない」と発言したと報じています。野党からは「権力の行き過ぎ」との批判が出ており、大統領の指導力不在が深刻な問題となっています。韓国憲法では、辞任または弾劾以外に大統領を交代させる手段がないため、政局の混迷は長期化する可能性があります。
捜査対象となる大統領と政府高官:疑惑の真相究明
韓国最高検は8日、尹大統領を内乱と職権乱用の容疑で捜査していると発表、9日には海外渡航禁止措置が取られました。さらに、元国防相の金龍顕(キム・ヨンヒョン)氏も内乱の疑いで逮捕されました。警察は、韓悳洙(ハン・ドクス)首相や閣僚、国家情報院長ら計11人に出頭を要請しています。政権中枢を巻き込む大規模な捜査は、韓国社会にさらなる混乱をもたらしています。
尹錫悦大統領
韓国の政局は、予断を許さない状況が続いています。今後の展開によっては、韓国社会に大きな影響を与える可能性があります。Jp24h.comでは、引き続きこの問題を注視し、最新情報をお届けしていきます。