ソウル市の国際的な競争力が再び上昇気流に乗っています。日本の森記念財団都市戦略研究所が発表した「世界の都市総合力ランキング(GPCI)」で、ソウルは世界48都市中、7年ぶりに6位に返り咲きました。
ソウル、都市競争力ランキングの変遷と躍進の背景
2008年にGPCI調査に初参加したソウルは、13位からのスタートでした。その後、2012年から2017年までは安定して6位を維持していましたが、2018年にはアムステルダム、2020年にはベルリンといった新興都市の台頭に押され、8位まで順位を落としました。しかし、2021年の呉世勲(オ・セフン)市長就任以降、巻き返しが始まり、2022年にはベルリン、そして今年はアムステルダムを再び抜き去り、見事6位に返り咲きました。
ソウル市の夜景
研究開発、交通アクセスの進化が競争力向上を牽引
今回のソウル市の躍進を支えたのは、世界5位と評価された研究開発分野の競争力です。また、交通利便性や輸送力を評価する交通・アクセス分野も、前年の20位から16位へと大きく順位を上げました。ソウル市関係者は、気候同行カード、漢江バスの導入、自動運転深夜同行バスといった施策が奏功したと分析しています。
交通アクセスの向上で市民生活もより快適に
交通アクセスの改善は、市民の日常生活にも大きなプラスの影響を与えています。通勤・通学時間の短縮、渋滞の緩和など、都市生活の質の向上に繋がっていると言えるでしょう。例えば、料理研究家の佐藤恵美さん(仮名)は、「ソウルでの移動が以前よりスムーズになったおかげで、市場での食材探しや料理教室への移動が楽になり、時間の有効活用ができるようになった」と語っています。
ソウルの交通
住宅分野の課題と五輪誘致への期待
一方で、居住分野は35位と依然として低い評価となっています。ニューヨークやロサンゼルスといった住宅価格の高い大都市も同様に低い評価を受けていることから、住宅問題は大都市共通の課題と言えるでしょう。
世界的な都市との比較と今後の展望
近年のオリンピック開催都市であるロンドン、東京、パリが上位にランクインしている点は注目に値します。ソウル市は2036年のオリンピック誘致を目指しており、今回のランキング上昇は大きな弾みとなるでしょう。呉市長は「都市競争力を世界5位まで高める」という目標を掲げており、更なる都市の魅力向上に向けた取り組みが期待されます。
ソウルの未来に向けて
ソウルは、更なる発展に向けて着実に歩みを進めています。研究開発、交通アクセスといった分野での進化は、都市の活力を高め、市民生活の質の向上に貢献しています。今後の課題として挙げられる住宅問題への対策も、都市の更なる成長には不可欠です。2036年のオリンピック誘致を視野に入れ、ソウルは世界トップクラスの都市を目指して進化を続けていくでしょう。