【主張】処理水と小泉氏 前環境相の決意受け継げ

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小泉進次郎環境相=11日午後、首相官邸(鴨川一也撮影)
小泉進次郎環境相=11日午後、首相官邸(鴨川一也撮影)

 「思い切って放出して希釈する他に選択肢はない」と、退任直前の原田義昭環境相(当時)が発言した。

 東京電力福島第1原子力発電所で増え続ける、有害放射性物質除去後の処理水に関する閣僚としての思いだ。批判を覚悟でよくぞ表明したと評価したい。本来は安倍晋三首相の口から聞きたかった所感である。

 8年前の過酷事故で大破した3基の建屋では、溶けた燃料を冷やす注水と流入する地下水で日々、放射能汚染水が発生している。

 東電は浄化装置で放射性物質を除去しているが、水素の仲間のトリチウムは、水そのものとして存在するので濾過(ろか)できない。

 トリチウムを含む処理水は、第1原発の敷地内にタンクを設置して保管され、貯蔵量は100万トンを超えている。タンク群も約千基にまで増え、3年後には設置スペースがなくなる見通しだ。

 タンク群が敷地を占拠したままでは廃炉作業に支障が出る。廃炉工程の安全確保と工事進展のためにも、たまった処理水を海洋に放出し、十分なスペースを確保することが必要だ。

 原田氏の発言は、こうした現実を冷静に見つめ、熟慮を重ねた上での発言である。だが、漁業関係者は猛烈に反発した。風評被害の増大を懸念しての対応である。

 その怒りと危惧は理解できる。しかし、処理水をため続けることの大きなマイナスも存在する。アンダーコントロールの枠からはみ出しつつある大量の処理水が、風評被害の温床になりつつある面はないのだろうか。

 事態は事故当事者の東電の手に負えるレベルを超えている。原田氏の発言は、これまで処理水問題解決に消極的だった安倍政権を前面に立たせる好機だった。

 膝を交えた話し合いが実現すれば解決への道が見つかる可能性があった。だが、新任の小泉進次郎環境相は、原田氏の発言について福島県の漁業関係者に陳謝した。これで幕を引くのなら、若手ホープへの期待がしぼむ。

 トリチウムは放射線のエネルギーが弱く、体内に摂取しても速やかに排出されるので、韓国を含め世界の原子力施設からトリチウム水は海洋放出されている。

 小泉氏が勉強し、風評被害という因習打破に動く姿を見たい。はたして、それができるか。

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