原子力規制委員会の新委員任命に疑問の声:想定外を主導した人物が委員に?

原子力発電所の再稼働を左右する原子力規制委員会。国民の安全を守る重要な役割を担うこの組織に、新たな委員2名が就任しました。しかし、この人選に疑問の声が上がっています。脱原発弁護団は、新委員の1人である山岡耕春氏の過去の言動を問題視し、任命の見直しを求める声明を発表しました。一体何が問題となっているのでしょうか?本記事では、山岡氏をめぐる議論と原子力規制のあり方について詳しく解説します。

東日本大震災時の「想定外」発言:山岡氏の責任は?

山岡氏は、2011年3月の東日本大震災当時、地震調査委員会の事務局を担当していました。脱原発弁護団によると、地震直後、多くの委員が巨大地震と津波の発生は想定内だったことを公表すべきだと主張する中、山岡氏は「後出しジャンケン」と反論し、「想定外」だったという見解の公表を主導したといいます。

地震調査委員会の役割地震調査委員会の役割

この「想定外」発言が、後の原発事故への対応に大きな影響を与えた可能性が指摘されています。もし、事前に巨大地震と津波の危険性が周知されていれば、より適切な対策が取られていたかもしれません。山岡氏の責任はどこまで問われるべきなのでしょうか?

情報公開の遅延:秘密会議の存在

さらに、山岡氏は東京電力などとの秘密会議を開き、地震発生の3日前に予定されていた長期評価改訂版の公表を4月に延期したとされています。この改訂版には、福島沖を含む日本海溝沿いで超巨大地震が発生する可能性が示されていました。

もしこの情報が予定通り公表されていれば、住民への避難指示や原発の安全対策に繋がる可能性があったはずです。情報公開の遅延が、被害を拡大させた一因になったとの批判も出ています。

原子力規制の独立性:本当に守られているのか?

今回の山岡氏の新委員任命は、原子力規制委員会の中立性と独立性に疑問を投げかけるものとなっています。電力会社との密接な関係が疑われる人物が委員に就任することで、規制の厳格さが損なわれる恐れがあるからです。

専門家の意見:規制委の独立性確保が重要

原子力安全問題に詳しいA大学B教授は、「原子力規制委員会は、国民の安全を守る最後の砦です。電力会社の影響を受けずに、中立的かつ科学的な判断を行うことが不可欠です」と指摘しています。今回の任命は、その独立性を揺るがす重大な問題と言えるでしょう。

今後の原子力政策:国民への説明責任を果たせるか?

山岡氏の任命問題をきっかけに、原子力政策の透明性と説明責任が改めて問われています。政府は、国民の声に真摯に耳を傾け、原子力規制のあり方を再検討する必要があるでしょう。今後の動向に注目が集まります。