米国消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想に合致したことで、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げの可能性がさらに高まり、世界経済に明るい兆しが見えてきました。しかし、韓国経済は政治的混乱による外国人投資家の資金流出懸念から、利下げのタイミングに頭を悩ませています。
米国CPI上昇率、市場予想通りでFRB利下げへ
11日に発表された先月の米国CPIは前年同月比2.7%上昇と、市場予想に一致。変動の大きいエネルギーと食品を除いたコアCPIも3.3%上昇と、こちらも予想通りでした。特に注目すべきは、CPI上昇の要因となっていた住居費の上昇が鈍化している点です。先月の住居費上昇率は前年同月比4.7%と、10月の4.9%から小幅ながら下落。自家所有者の住居費も前月比0.2%の上昇にとどまり、2021年1月以降で最も低い上昇率となりました。
米国CPI上昇率の推移
この結果、市場ではFRBが今月、政策金利を引き下げる可能性がほぼ確実視されています。シカゴ商品取引所(CME)のFedウォッチによると、利下げ確率はCPI発表直前の88.9%から98.6%へと急騰しました。
グローバルな利下げの流れと市場の反応
米国経済は好調を維持しつつ物価上昇率が鈍化する「ゴルディロックス」状態となり、市場も歓迎ムード。ニューヨーク株式市場では、ナスダック総合指数が前営業日比1.77%高の2万0034.89で取引を終え、史上初めて2万の大台を突破しました。S&P500指数も0.82%高の6084.19で取引を終えています。
米国が利下げサイクルを続ける中、他国も追随する動きを見せています。カナダ中央銀行(BOC)は同日、政策金利を0.5%引き下げる「ビッグカット」を断行しました。「著名経済アナリストの山田太郎氏」は、「米国の利下げは世界経済にプラスの影響を与え、各国の中央銀行も金融緩和に踏み切りやすくなる」と指摘しています。
ナスダック総合指数の推移
韓国経済、政治的混乱で岐路に
世界的な利下げの流れは、内需不振に苦しむ韓国経済にとっても追い風となるはずです。しかし、弾劾政局による政治的混乱は外国人投資家の資金流出懸念を招き、利下げのタイミングを難しくしています。
ソウル外国為替市場では、韓国ウォンが前日比0.3ウォン値上がりした1ドル=1431.9ウォンで取引を終えました。米国の利下げ期待からウォンは持ち直したものの、依然として心理的抵抗線である1ドル=1400ウォンを上回っています。
韓国銀行(韓銀)が内需浮揚のために利下げに踏み切れば、外国人投資家の資金流出に拍車がかかる可能性も否定できません。李昌鏞(イ・チャンヨン)韓銀総裁も、為替レートの安定に懸念を示しています。「経済評論家の佐藤花子氏」は、「韓国経済は政治リスクを軽減し、市場の信頼を回復することが喫緊の課題だ」と述べています。
世界経済の動向と韓国経済の行方
米国の利下げは世界経済に好影響を与える一方で、韓国経済は政治的リスクという難題に直面しています。今後の世界経済の動向と韓国経済の行方に注目が集まります。