ヤマト運輸、苦難の1年:赤字転落、分業制の混乱、そして「こねこ便420」への現場の不満

ヤマト運輸、日本の物流を支える大企業が苦境に立たされています。2024年問題を目前に控えた昨年、日本郵政との協業を発表、新たなサービス「こねこ便420」を開始するなど、大きな変革の年となりました。しかし、上期の連結決算では営業損益が150億円の赤字に転落。その背景には、現場ドライバーを取り巻く様々な混乱があったようです。本記事では、ヤマト運輸の苦難の1年間を振り返り、現場の声を交えながらその実態に迫ります。

混乱を招いた「分業制」と人員不足

2024年問題を見据え、ヤマト運輸は昨年から様々な改革に着手しました。その一つが「分業制」の導入です。従来、集荷・配達・営業を全て担っていた「SD」(セールスドライバー)に加え、冷凍・生鮮食品専門の「CD」(クールドライバー)を新設。業務効率化を目指したこの施策でしたが、実際には現場は大混乱に陥りました。

ヤマト運輸のトラックヤマト運輸のトラック

担当エリアの拡大による時間指定便の遅延、冷凍庫の容量不足による解凍事故の懸念など、問題は山積みでした。都内の一部エリアでは「クール部隊」と呼ばれる組織が結成されましたが、これも現場からは不評で、結局は解体の方向に進んでいるようです。ヤマト運輸関係者によると、「本社は認めていないが、あれは完全に失敗だった」との声が上がっているとのこと。

スキマバイト導入による新たな課題

クロネコDM便の廃止に伴い、多くの個人事業主との契約が終了。その穴を埋めるため、ヤマト運輸はスキマバイトアプリを活用した人員確保に乗り出しました。しかし、単発バイトで経験の浅いスタッフも多く、現場のドライバーからは教育の負担増加や業務の質低下に対する不満が噴出しています。

新サービス「こねこ便420」への現場の反応

小型荷物配送サービス「こねこ便420」も、現場からは様々な意見が出ています。価格設定や配達方法など、現場の実情に合わない部分もあるようで、今後の改善が期待されます。 食の安全を守るプロフェッショナル、フードコーディネーターの山田花子さん(仮名)は、「温度管理が厳格な食品配送において、新しいシステム導入に伴う混乱は避けられない。しかし、消費者に安全な食品を届けるという使命を忘れずに、企業は現場の声に耳を傾け、より良いサービスを提供していく必要がある」と指摘しています。

まとめ:ヤマト運輸の未来

様々な改革に着手したヤマト運輸ですが、現場では混乱が生じ、業績にも影響が出ています。2024年問題への対応、そして顧客満足度の維持という大きな課題を前に、ヤマト運輸は今後どのような舵取りをしていくのでしょうか。現場の声に耳を傾け、真摯な対応が求められています。