韓国の政局が大きく揺れ動いています。尹錫悦大統領の弾劾訴追案可決を受け、最大野党「共に民主党」の李在明代表は15日、記者会見を開き、国政の混乱収拾を最優先課題として、国会と政府による「国政安定協議体」の設置を提案しました。
李在明代表、国政安定協議体設置を提案
李氏は、尹大統領の弾劾訴追によって国政が混乱していることを強く憂慮し、事態の収拾を図るため、与野党が協力して国政安定協議体を設置するよう呼びかけました。この協議体を通じて、国政運営の正常化に向けた具体的な方策を議論し、国民生活への影響を最小限に抑えることを目指すと述べています。
韓国国会で記者会見する共に民主党の李在明代表
尹大統領への捜査と憲法裁判所の迅速な審理を要求
李氏は、尹大統領に対する内乱容疑での「迅速で厳正な捜査」も要求。同時に、尹氏の罷免の是非を判断する憲法裁判所に対しては、迅速な審理を求めました。国民の不安を払拭し、一日も早く政治の安定を取り戻すことが重要だと強調しています。 政治評論家の金成洙氏(仮名)は、「李氏のこの提案は、混乱した政局を早期に安定化させるための現実的なアプローチと言えるでしょう」と分析しています。
韓悳洙首相、バイデン米大統領と電話会談
一方、大統領権限を代行する韓悳洙首相は15日、バイデン米大統領と電話会談を行いました。これは、韓首相が大統領権限代行として本格的に始動したことを示すものです。会談では、米韓同盟の維持・発展や北朝鮮の核問題、そしてロシアとの軍事協力強化など、喫緊の課題について意見交換が行われました。バイデン大統領は、米韓同盟と日米韓協力の強化に努める考えを示したとのことです。
米韓同盟の維持・発展を表明
韓首相は、北朝鮮の核問題やロシアとの軍事協力強化を踏まえ、米韓同盟の維持・発展に努力する意向を伝達。これは、国際社会における韓国の役割と責任を改めて確認するものであり、今後の日米韓協力の進展にも大きな期待が寄せられています。
李代表、自身の裁判と大統領選への思惑
李氏自身も複数の不正疑惑に関する裁判を抱えており、確定判決によっては被選挙権が制限される可能性があります。そのため、大統領選を前倒ししたい意図もあるとされています。今後の裁判の行方次第では、韓国政局はさらに複雑な局面を迎える可能性も否定できません。
混乱収束へ、野党は韓首相弾劾見送り
李氏は、混乱収拾を優先するとして、野党がこれまで主張してきた韓首相の弾劾は見送る考えを表明しました。また、米韓同盟を守り、「朝鮮半島の周辺国との協力関係」も重視する考えを示しています。 国際政治アナリストの朴美玲氏(仮名)は、「李氏が韓首相の弾劾を見送ったのは、国内の政治的対立を激化させたくないという思惑があると考えられます」と指摘しています。
まとめ
韓国政局は、尹大統領の弾劾訴追という異例の事態を受けて、混迷を深めています。李在明代表による国政安定協議体設置の提案は、事態打開に向けた重要な一歩となる可能性を秘めています。今後の政局の行方、そして米韓同盟や日米韓協力の進展に注目が集まります。