国の戦没者遺骨収集事業をめぐる問題で、ロシア国内で収集されたシベリア抑留者とみられる遺骨597人分が日本人のものでない可能性があることが19日、厚生労働省の調査で分かった。十年以上前から専門家が疑いを指摘していたが、厚労省は公表せず、ロシア側にも伝えていなかった。
日本人以外の可能性が指摘されたのは、平成11~26年にロシア国内9カ所の埋葬地で収集された遺骨。国内で行われたDNA鑑定で、17年には専門家が日本人でない可能性を指摘していたが、一般には明らかにされなかった。
しかし、ロシアのザバイカル地方で収集した遺骨16人分について「日本人の遺骨ではない」などとするDNA鑑定の結果が出ていたことが今年になって判明。ほかにも外国人の遺骨と取り違えていた疑いが浮上したことなどから厚労省が調査していた。
遺骨は、ロシア側に残る資料や現地で得られた証言、ロシア側鑑定人による骨の形質の分析などから日本人と判断し、持ち帰っていたという。
これまで公表しなかった理由について、厚労省は「日本人の遺骨であるとの判断がロシア側と食い違っており、検討に時間を要した」などと釈明。取り違いが疑われた遺骨については今後、改めてDNA鑑定を実施するなどして、日本人のものではないかを詳しく調べる。