移民政策が進むと日本はどうなるのか…外国人の受け入れが経済成長に影響するってホント?


 本記事は『60歳からの知っておくべき地政学』の一部を再編集してお送りする。

技能実習法と入管法改正は愚策の「移民法」

 この改正では技能実習制度を廃止して、「育成就労」という新たな制度を導入した。育成就労制度では、試験などの条件を満たすことで、特定技能1号として最長5年間の就労が認められる。

 その後、在留資格の更新に制限がない2号へ移行することができ、家族の帯同や将来の永住権申請も認められるようになった。

外国人の受け入れ期間の区別があいまいに

 一見すると、悪名高い技能実習が廃止されることで改良のように見える。それまでの技能実習は国際貢献を建前としながら、実際には安価な労働力の受け入れが目的だった。それが改正されたのだから。

 筆者が問題視しているのは、育成就労(旧技能実習)から特定技能、永住権へ至る流れである。これをみる限り、今回の技能実習法と出入国管理法の改正は実質的に移民法だ。

 一般的に先進国では、外国人の受け入れは短期と長期で明確に区別されている。しかし日本では、短期と長期の区別があいまいになってしまった。

外国人に日本を「選ばせるため」に資金を投入?

 世界の制度は国ごとに異なり、形式的な審査で不正を防ぐのは難しいのだ。

 今回の制度改正の基礎となったのは、2023年11月に法務省が発表した報告書である。その中で筆者が奇妙に感じたのは、「外国人材に我が国が選ばれるようにすること」や「外国人との共生社会の実現を目指すこと」という趣旨が記されている点だ。

 大前提として、日本が外国人を選び取るシステムを作るべきであり、外国人に日本を選ばせるために資金を投入するのは、制度設計として適切ではない。



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